結婚相談所レポート 婚活体験記43歳男性
【あらすじ】
結婚相談所に入会してから一週間の間に、2人の女性とお見合いをしている。どんなに“イケメンでモテる男”でも、結婚相談所の婚活でなければ考えられないことだ。
今日のお見合い相手の女性から「石田さんモテるでしょ?」といわれ、返し方を「特にはモテませんが…」などと偉そうに聞こえる返事をして少し後悔した気持ちになった。
彼女は、結婚相談所に入会している男性の特徴として、「プレイボーイ」のように女慣れしている遊び人タイプはいないと話していた。
1979年(昭和54年)の創業より、埼玉県さいたま市で“成婚にこだわった”サービスを提供し続けている、結婚相談所KMAがレポートする「婚活体験記ブログ」です。
《第10回》
《婚活体験を綴る男性のプロフィール》
【石田修(仮名)43歳・大卒・会社員・168cm・67kg・埼玉県草加市在住】
結婚相談所の仲人カウンセラーさんに婚活体験記を書いてみたら?と言われ、引き受けてしまったが、作文は正直得意でない。でも貴重な体験になるし、それを記録として残すことに意義があると思ったので引き受けた。
モテるでしょ?女性からお見合いで言われる
今日のお見合い相手は、僕に申し込みをしてくれた女性で有川さん(仮名)という。さいたま市在住で、39歳、大卒で、162cm、体重50kgと婚活プロフィールに書いてあった。両親と弟が一人、祖母と暮らしているようだ。
会社の後輩に口コミ紹介されて入会した結婚相談所で、2人目の女性と出会っている最中である。目の前に、その有川さんという女性がいる。
お見合い会話の中で彼女は、「石田さんモテるでしょ?」という。
あとで少し後悔したのは、とっさに「いいえ、特にはモテませんが…」などと、返し方が偉そうに聞こえる返事になったことだった。
有川さんの品のいい唇が「ふふふ」と笑った気がした。
考えてみると入会して7日間で、結婚するかもしれない2名の女性とお見合いになっているのだ。実社会の恋愛では考えられないことだった。
結婚相談所は恋愛に不器用な男性の集まり?
「やはり結婚相談所だからと言いますか、もう明日にでも結婚したい人の集まりですし、入会時にあれだけ厳密な公的書類の提出が必須ですし、安心して出会えますからスピード感は出てきますよね?」
「それと、」と有川さんは言って、「うちの仲人さんが言うには、ここに集まってこられる男性の特徴は一人として恋愛に器用な人はいない、つまりプレイボーイみたいなタイプの人はいません」
「たしかに」と僕。
「だからいいんです!と力説するんです。ご亭主にするのにちょうどいいんですって」
なるほどと思った。
女扱いのうまいのが亭主だと、浮気だのなんだので、あとあと面倒というわけだ。そういう男がいないどころか、恋愛に不器用すぎる男どもばかりではないだろうか、と思った。
「僕を含めて」と胸で言った。
僕を結婚相談所に連れてきた後輩も、この相談所で結婚したが、どちらかというと気が利かないくらい恋愛に不器用だ。だがその女房殿は「それがいい」と言ってくれたそうである。
確かに職場の女性やら、隣家の奥さんに色目をつかわれたらたまったものではない。
目の前のお見合い女性がますます気にかかる
「それともっともらしいと思ったのは、お見合いは条件の結婚って言うんです。当然なのですが、いいところはお互いの婚活プロフィールだけじゃなくて、家族構成など、親兄弟、姉妹の様子が分かって出会うから、いいのだというんです」
「それは僕も聞いたような…」
「入会の時、そうしたことの裏付けのある書類も提出していますから、その点安心して出会うことができるでしょ?とおっしゃるんです」
「それと、会員はもとより相談所のほうでも会員が結婚してくれなくちゃ困るという側面がありますからね」
「ああ、その“成婚料”というのですね。これはうまくできていると思います。私、大手結婚相談所と言われる男女の出会い情報を紹介してくれる所に、半年ほど入会していましたが、出会う男性が結婚を目指しているのか疑問でしたし、会社自体もそれを目指しているように感じませんもの、当たり前と言えばそうなんですが…」
僕はもちろん黙って聞いていたが、有川さんは自分だけが熱心にしゃべっているという印象に気が付いたのか、「私恥ずかしい!結婚相談所の営業みたい」といって、僕の顔を見て唇を閉じるように人差し指で「シー」をした。
僕にはそうした仕草が、新鮮でかわいらしく感じられた。僕はこういう女性が自分の女房になってくれたら、とその時に思った。
同時に偶然だが、先週お見合いした同級生の妹だった「奥田幸」のこと思ったのはどういうわけだろう。
あれから1週間たつのに何も言ってこない。やはり僕も考えていた自然消滅を彼女も考えているのだ、と確信した。
同級生である兄の「奥田擢」からも電話の1本もない。
そう思うと、目の前の有川さんがますます気にかかってきた。二人はロイヤルパインズホテル浦和を出て、浦和駅に向かった。
「きょうは楽しかったです!」と有川さん。
僕はしまった、先に自分が言いたかった、と思いながら、「僕もです!」と言っていた。
(この項、了)
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