【お見合い結婚体験談 31歳女性】
自分の兄弟姉妹に、病気や障害を抱える人がいる人たちのことを「きょうだい児」と呼びます。
31歳の女性から入会手続き後のカウンセリングで、「きょうだい児」であることのカミングアウトを受けました。これまでの婚活では、「きょうだい児」であると伝えると皆さん気持ちが離れていったようです。
近年、人権・差別に関する法律が施行され、人権に対する意識が高まっています。そのため私たち結婚相談業は、人権に慎重に配慮しなければなりません。
結婚相談所が取り扱う個人情報は、取り扱える範囲(項目)が決まっています。健康状態や病歴は「プロフィールシート」に欄を設けて記入させたり、会員さんから直接口頭で聞いたりできません。
プロフィールに記載した情報以外で、結婚後を考えた時に何か「今言っておいた方がいいかな」「相手に言った方がいいのかな」など、気になることがあればご相談に乗りますので遠慮なくおっしゃってくださいと伝えています。
埼玉県さいたま市浦和区の結婚相談所 株式会社KMAのお見合い結婚体験談「備忘録ブログ」です。
《相談者》
【田中亜里沙=たなか ありさ(仮名)長女、31歳、大卒、初婚、会社員、156cm、46kg、父61歳、大卒、母58歳、大卒 、弟28歳、大卒、未婚】
目次
《妻は仲人名人》
昭和から平成の時代にわたり、“仲人おばさん”としての経験を備忘録としてノートに書き留めていました。今は息子の嫁が仲人を継いでいますが、少し時間ができましたので、時代はとびとびになりますが、創業者が当時を思い出すままブログに書きます。
昔ながらの仲人にお見合いを頼んでいますが…
これは15年ほど前のお話です。母親と娘さんが私どもの結婚相談所へ訪ねてきました。
「なかなかいいお相手との出会いがありませんで…」
開口一番母親は言いながら一緒に連れてきた娘を見た。ほっそりした可愛い娘さんである。そしてすぐに事情を話し始めた。
「この子は、実は近所の結婚相談所に2年間在籍しています。昔は縁結び名人と言われたというご高齢の女性、100歳近いといううわさもありますが、その仲人さんにお相手探しをお願いしてあったのですが、2年間で1回だけお見合いさせていただきました。そのお見合いも10歳上の会社員でした。この子はその人でもいいと言ったのですが、私と主人が反対して、お見合いだけでおしまいにしました」
「今もまだその結婚相談所に入会されているのですか?」と聞いた。
「入会といっても、ただ写真と身上書を書いてお預けしただけで、あちらからお声がかかるのをお待ちしているだけですから…」
昔は近所の世話焼きおばさんが、ごく個人的に頼まれるまま、仲介役になってあっちの男性とこっちの女性とを結び付けていた。
昔の日本は、個人と家、知人と地域の人間関係で支えあう、近所どうしのつながりでコミュニティが成り立っていたので、結婚適齢期になったお相手を探すのも容易いことだったのでしょう。
100歳近いというその仲人さんは多分その生き残りに違いない。したがって、地域関係の希薄化が叫ばれている、現在の都市部のコミュニティでは、目の前にいる母と娘が希望する男性がすぐには見つからないのである。
結婚相談所31歳女性の婚活事情は厳しいのか?
「うちでは会員数の多い結婚相談所連盟に加盟していますから、「出会いがない」ということは、まずありません。希望すれは毎週でもお見合いができるでしょう。ただお嬢さんは大卒ですから、高卒の女性ほど回数はできませんが、厳選して選びながら手堅く出会いをつくっていかれればいいと思います」と私。
「亜里沙は30歳を過ぎています、いつ結婚できるでしょう」
娘さんは亜里沙という名前である。
「30歳過ぎてもどうということはないはずです、今どきは。あなたの周辺でも結婚しておられない方はあふれるほどいるでしょう?」と私は彼女に向けた。
「そうなんです、友だちはほとんど結婚していません」と可愛い口でほほえんだ。
「ただ…」と彼女は言って、「私は早く準備したいんです。若いうちに結婚して子育てを早く終わらせて、夫婦の時間をエンジョイしたいんです、ウチの両親のように」と母親を見て笑った。
母親も笑うかと思ったが複雑な面持ちになったのが気になった。
結婚情報サービスでの婚活親に内緒にしていた
この日は入会書類を持ち帰り、翌週、入会必要書類をそろえて彼女だけで手続きに来た。
プロフィールに掲載するための写真を何枚か撮ってあげた。写真スタジオに行かなくても、私がスナップ写真を撮ったほうが自然な表情になれるので会員さんからは好評だ。一段落して改めてソファーに座ると、亜里沙さんは切り出した。
「先日の入会ガイダンスの時は言いませんでしたが、実は縁結び名人さんの所とは別に、結婚情報サービスの会社に2年間ほど入会していたんです」
「へえ~、有名どころの結婚相談所ですか?」
「まあそうです。ただ、2年で10人ほどの男性とお会いしましたがダメでした」
「ふむ、まあ私たちからしたら2年で10名というのは少ないとは思いますが、それにしても結婚が決まらないのは、ご自分では何が原因だと思いますか?」
と聞いてみた。
「さあ、なんでしょうか…」
しばらく考えていて、「私、たぶん交際が下手なんです」亜里沙さんは言った。
お見合いしても好きになる予感がしないと駄目
私が思うに、交際が上手いか下手かよりも、二人の交際する男女をより客観的にお互いが眺められるかどうかだと思う。つまり二人の有言、無言の心のありようを俯瞰的にみられるかどうかだと思う。
生まれ育った環境が30年以上も隔てて初めて出会う男女なのである。それからひと目会って、せめて“好きになる予感”がないと駄目である。
私がそれを言うと、「心のありようを俯瞰的(ふかんてき)に、ですか。“好きになる予感”ですか」
彼女は私の言葉をなぞるように言った。
そして、「それは、どうしたら…」
「まず、亜里沙さんが交際に入ったら、デートのたびごと私にご報告ください。私が客観的に聞いて差し上げるし、感想を述べますからそれを参考にすればいいのです。そこから始めませんか?」
「なるほど、初めて会った人の言葉が意味不明に思えたり、普通ならやり過ごすようなことでも気になったりして、それ以上気持が進んでいかないってことがありますね、たしかに。そんな時、後からでも客観的に“それは、こうよ”って言っていただくとありがたいですかね。お見合いって、お相手の備わっている条件を、ある程度知ってから出会うのですものね。あとは気持が通じ合うかどうかですものね」
「そのとおりです。うちで結婚までが早い人は、男女に限らず逐一デートの報告をしてくれる会員さんなの」
彼女が安堵した感じが伝わってきた。
きょうだい児であるとカミングアウトを受ける
そのあとは必用書類などにひととおり目を通した。見ていると、亜里沙さんが話を切り出した。
「私には筋ジストロフィーの弟がいるんです…」
突然のカミングアウトであった。驚いた。私の知識ではこの病気は、筋肉の病気でいずれは呼吸の障害や心不全などが起こりやすく、短命だということである。だがそれは顔に出さなかった。たしかに身上書の家族構成欄で28歳の弟の職業欄が空欄なので気になっていた。
「それはいつ頃わかったのですか?」
「弟が幼稚園あたりからでしょうか。両親が“何だかこの子のろいなあ”と思うようになっていたとのことです。小学校2年生の頃、本人が周りの子たちと明らかに自分は違う!と両親に訴えたんです。それで医療機関に連れて行き、一種の筋ジストロフィーと診断されました」
「ご本人が訴えたのですか…」
「弟は利発なんです」
28歳だともうそんなに生きられないだろうと私は思った。私は耳を傾けた。
「今は苦しいながらも懸命に生きています。弟は中高一貫校に合格して大学を卒業して、今は生活介護事業所に通っています。弟にはいつまでも生きていてほしいと思っています」
私は“そうよそうよ”とうなずいていた。
「でも最近、弟の患者仲間の人が30歳を前にして亡くなったんです」
と彼女は弟本人が亡くなったかのように、一瞬声をあげて泣いた。
「弟は言うんです。“僕は生かされている。周りの人たちに生かされているんだ。一日一日自分の命を大事にしなければと思う”とけなげなんです」
とまた彼女は、ハンカチで頬に流れる涙をふいた。
きょうだい児と伝えると相手は急に冷めていく
「私は弟の病気がわかってから、彼がもうふつうの、人並みのしあわせを得られないと思っていました。それで弟に寄り添いたくて、大学は社会福祉科を卒業して、今は生活支援員として生活介護事業所に勤めています」
この結婚相談所には人生のいろいろなドラマが持ち込まれるが、この時の言葉ほど感動したことはない。私は思わずその場で、亜里沙さんを抱きしめたいと思ったほどである。
「私は弟の分までふつうに幸せになりたいんです…」
と彼女はまるで決意を宣言するかのように言った。
そして、「でも、これまで結婚情報サービスの会社で出会った男性10名のうち8名くらいは、弟の病気のことを話すと気持ちが冷めていった気がします」
「出会ってすぐに弟さんのことをおっしゃる?」
「そうすることにしています。私が一番気にしていることですから…」
「でも、わかりますが、あなたの結婚ですから、まずはあなた自身がお相手をどう思うか、お相手があなたをどう思うか、だと思いますよ。弟さんの病気をあなたに備わった条件のようにはしないでいいと思うわ。それを気にするような男性はこちらからお断わりヨ!」
語尾が少し強くなった。彼女は味方を一人獲得、という顔でほほえんだ。私は“この子の優しい心根に共鳴する男性は必ずいるに違いない”と確信した。
ありのままの自分を受け入れてくれる人がいた
田中亜里沙さんが入会手続きをして10日ほどで会員情報誌に掲載されると、2、3日で10名ほどの男性からお見合いの申し込みが入ってきた。彼女は自分からお相手を選ばなかった。
私は彼女を相談所へ呼んでお見合い相手の検討をした。その中から2名の男性を選んだ。いずれも会社員で、一人は立教大卒、もう一人は法政大卒である。住まいは、前者は東京都北区で、後者は埼玉県北本市である。
私がお見合いに立ち会って相談所で引き合わせた。土曜日に2週連続でお見合いをした。二人とも彼女と交際を望んだが、彼女は東京都北区の男性と交際に入った。
彼女と私の申し合わせでは、お見合いの日は、お相手が聞いてこない限り、弟さんのことはこちらからは言わないということにした。
「明日デートなんですが、弟のこと言ったほうがいいでしょうか」と前の晩彼女から電話が入った。
「それも成り行きね。あの立教大の方、とてもあなたを気に入っているようですよ、亜里沙さんは?」
「私も彼なら素敵だと思っています」
「それなら明日、さりげなく言ってみたらいいわ。正直に“私がいちばん気にしていること”ということでね」
「わかりました!言ってみます」と言って切った。
翌日の夕食前に彼女から電話が入った。少々興奮している。
「先生、彼が言ってくれたんです!」
「なんて?」
私も早く聞きたかった。
「彼ったら“僕は弟さんを選ぶんじゃない。君を選びたいんだ”と言うんです」
それを聞いて私は感動した。お見合いに立ち会った時、直感で彼女はこの人と結ばれるかもしれないと思ったものである。柔和であるが、しっかりした冷静なもの言いなどが私自身が気に入っていたのである。
そんなわけで田中亜里沙さんは、2人の男性とお見合いしただけで結婚したのである。交際中は彼女からデートの一部始終を報告してもらったことは言うまでもない。
それが成婚というゴールインまで短期間にたどり着ける秘訣である。この仕事はだからやめられないのよね。
(この項了)
埼玉県さいたま市浦和区にある成婚第一主義の結婚相談所です。
1979年(昭和54年)創業の実績と豊富なノウハウで、お見合いから成婚までを婚活カウンセラーが親身にサポートします。
無料相談やお見合いパーティーなど、さまざまなサービスを提供しています。
アクセス:JR京浜東北線 北浦和駅西口徒歩3分
埼玉県営北浦和公園(埼玉県立近代美術館)向かい
事業内容:結婚相手紹介サービス・結婚相談所開業支援(会社概要)
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