セックレスの悩みを結婚相談所に頼る既婚女性
結婚相談所には、結婚したいという願望だけでなく、「夫婦関係の相談や悩み」も持ち込まれます。その中でも、特に多いのがセックスレスの悩みです。
セックスレスは夫婦関係に大きな影響を及ぼし、心身の健康や自信にも影響します。しかし、セックスレスの原因や解決方法は一概には言えません。
彼女との出会いは、かれこれ15年以上前です。30代既婚女性の石井まり(仮名)さんは、相談室に入るやいなや、セックスレス夫婦の悩みを打ち明けます。
そこで、結婚相談所の仲人がカウンセリングとコーチングという二つの手法を使って、セックスレスの悩みを抱える既婚女性をサポートする方法を紹介します。
結婚相談所へはこうした、婚活以外の相談がけっこう多いのです。既婚者の相談ですから、間違っても結婚相談所への入会をすすめることはできません。
「では、あなたにふさわしい、こちらの人はいかが?」というわけにはいかないのです。そこは営業と切り離して対応しなければなりません。
埼玉県さいたま市浦和区の結婚相談所 株式会社KMAのお見合い結婚体験談「備忘録ブログ」です。
《相談者プロフィール》
【石井まり(仮名)32歳 ・短大卒・ 会社員・さいたま市在住・既婚】
目次
【妻は仲人名人】
昭和から平成の時代にわたり、“仲人おばさん”としての経験を備忘録としてノートに書き留めていました。今は息子の嫁が仲人を継いでいますが、少し時間ができましたので、時代はとびとびになりますが、創業者が当時を思い出すままブログに書きます。
結婚相談所に持ち込まれる性の悩み相談とは?
仲人(カウンセラー)には、いろいろな相談が持ち込まれますが、基本的には多かれ少なかれ性の悩みがほとんどです。今回のお話は、まだ入会していない女性からの訴えかけです。
おそらくまわりに相談する人がいないか、いても自分が納得するまでの答えが見つからないまま、結婚相談所に来たのでしょう。
私が生まれる前の明治、大正の時代は、街の仲人がお見合いの世話をするだけでなく、そのあとの「初夜の心得」や日常の夫婦の営みに関して、未熟な新郎新婦に「伝授」したというのは聞いています。しかしこれは昔だけの話ではなく、現代にも続いているのです。
セックスレス夫婦の悩みを打ち明ける女性の声
石井まりさんは切実に訴えかけます。
「結婚して、もう2年になるのですが、セックスは憶えているだけで4回です!」
ふうむ、半年に1回か、と思っていると、
「私、今の旦那と結婚する前、違う男性と1年間同棲したことがあるんです。その時も数えるくらいでしたから、なんか私は女性としての資質がないんじゃないかと、最近思うようになったんです」
見た目ではない、セックスレスの本当の原因
見た目では、彼女はそんなことはない。少しやせぎすでほっそりしているが、それはむしろスタイルがよいというべきで、これといって街で見かける若い女性と変わるものではない。
世の中の男性のなかには「太った子がいい」という人もいるが、それは一緒に育った姉妹や、母親や、小さいころ好きだった女の子が太っていたという経験値が左右しているような気がする。
彼女は結婚しているわけだし、問題は見た目だけが「旦那がかまってくれない」理由ではないと思う。
彼女を見ていて気が付いたのだが、服装などにあまり気をつかわないようである。それをいうと、彼女の可愛いまつげが濡れて、涙目になり、「洋服、買えないんです…」といった。
彼女は勤めていないそうであるが、1歳年上の彼から、毎月3万円をもらって「二人の食費」にしているとのこと。それでは洋服は買えないか…?
夫の支配下にある女性の不満と孤独
「子供もおられないなら、お勤めにでも出たらいかが?」といってみた。
「勤めに出たら絶対ダメ!って言うんです」
聞けば、彼女の旦那はIT企業に勤めていて、出社するのは週1日か2日らしい。今でいうテレワークである。したがって、ほとんど3食、彼女が作って食べさせているわけだ。
「なんだか食事の世話をしに結婚したみたい…」と彼女は言う。
彼の給料の額も、彼女は知らないらしいが、月に40万円は下らないらしい。
「貯金が趣味…」だという。
セックスレスの夫婦は本当に仲が良いのか?
それにしても2年も一緒にいて、セックスが半年に1回とはどういう人間だろう、と普通は思う。だが、世の中にはこういう夫婦も案外多くて、長きにわたり結婚相談所を経営してきて、そうした「夫婦関係の悩み相談」は枚挙にいとまはない。いまに始まったことではないのである。
また、その頃(15年前)は、ちょうどセックスレスの夫婦がトレンドになるほどニュースになった事がある。仲が良いのにセックスはしないという。そういう価値観があることは知っている。
しかし、私の少女時代には「プラトニック・ラブ」という言葉がはやったことがあった。これは肉体を伴わない「恋愛」のことである。これは少女であるからには結婚できない、結婚しないのだから肉体関係を結べないとしたものであった。
しかし、それとて肉体的な欲望はあるはずで、社会的な倫理規定などで押さえつけているだけだと思う。
女性が望むセックスと男性が与えるセックスの乖離
「抱かれたい、と思ったことはありますか…?」
私は「抱かれたい」を少し強調して言ってみた。
「もちろんあります!」
彼女は言下に言った。
「それで、それを言わないまでも態度で分かってもらおうとしていますか…?」
「分かってもらおうという態度は意識してはいません」
「2年間のその4回程度の、セックスをする時のきっかけはどんなもの…」
「彼が突然なんの予告もなく襲ってくるんです」
「おそってくる…」
まるでレイプだ、とは言わなかった。
「それであなたは当然受けるわけですよね」
彼女はちょっとためらうように、「受けるんです…」と言った。
「いつも、と言っても数は少ないのですが、そうなんですか?」
「1回だけ、してほしいという時来てくれましたのでよかったです」
そう言って目を伏せた彼女を見て、いとおしいとさえ思えた。おそらく全4回分の情景が、彼女の脳裏には鮮明にきざまれているはずだ。
「でも、変な言い方ですが、2年間730日のあいだに4回ですよね、あとの726日は何もないんですよね」
「やはりおかしいですよね」
「おかしい、というより異常という言葉がふさわしいかもしれないわ。でもこればかりはご夫婦の問題なのでどうしようもありませんね」
女性が抱える離婚の選択と母親のアドバイス
「この前、それで言い合いになったんです」
「セックスのことで?」
「そればかりじゃないのですが…」
「それで?」
「おしまいには、ほかの男を見つけて結婚しろ!っていうんです」
「それは、売り言葉に買い言葉ってやつね」
「それもあると思いますが、私、言われっぱなしだなって思うんです」
私はどう言ってあげようか、と思うより、この会話に付き合う義務はあるのかいなや、を考えてしまった。たぶん彼女の夫は草食系に違いない。そしてこれは私の持論なんですが、彼は「性欲が薄い」のだ。
そういう男性はいっぱいいる。沈黙が少しあった。
すると、「別れたほうがいいでしょうか…?」と彼女。
「ううむ…」と間を置いた。彼女は待っている。
「あなたと今日お会いしたばかりなのですが、なよなよしてるところがないわね?私それって個人的には好きなんだけれどね、オンナがいつもなよなよしてるばかりじゃ厭らしいけれどね」
「母親にも言われます、あなた、もう少しオンナらしくしたらって」
「お母さんが?まあおもしろいお母様なこと。そのお母様に相談なさったの?」
「したんです。そうしたら『あなたが幸せだと思うほうを選んだらいいのよ』とだけ言うんです、いつも…」
仲人が教える、カウンセリングとコーチングの違いと効果
そうかもしれない、と私は思った。私も母親ならそういうに違いない。しかし職業意識が邪魔してそうもいかない。
カウンセリングとコーチングの定義と違い
カウンセラーには傾聴スキルが欠かせない。相談者から聞いて、ひたすら聞く。相談者は自分が言ったことを自分の耳で聞いているものだから、話すことで、いやそれだけで解決できることがほとんどであると言っても過言ではない。
そのため、目の前の彼女に「そんな男と別れてしまいなさい、世の中には、もっとましな出会いがいっぱいありますよ」とは口が裂けても言わない。石井まりさん自身の「気づき」が大事だからである。
これがカウンセリングの基本ではあるが、結婚相談所の場合、気づかせた後、スムーズに『目的を達成するためのワザ』が必要である。それがコーチングである。
仲人が使うカウンセリングとコーチングの歴史と効果
コーチングの学説も、ほんの30年ほど前にアメリカで発祥し伝わったものである。日本の古来から伝わる仲人の手法(話法)は、おおむねカウンセリングとコーチングとの合作のようなものであった。
ただ、それは『お節介』の域を出ないにもかかわらず、『気づき』や『目的を達成するためのワザ』は、学説を伴わない仲人個人の説得力としか言いようがなかった。
要するに、アメリカ発祥の二つの学説をないまぜにした手法が、すぐれた結婚相談所には存在していたのである。
女性がカウンセリングで気づいた夫婦関係の問題点
しかし私は、日本産業カウンセラー協会の教室に通い、コーチングの技法を学んだ。私はそれを、目の前にいる石井まりさんに伝授した。
まず、「あなたはきょう、見ず知らずの私に縷々(るる)ご自分の置かれている境遇を話しました。それで相当客観的に『気づいた』と思います」と言った。
すると、彼女は今度は目に一杯涙をためて、「うん、うん…」と言葉にならない。
仲人が教える、セックスレスから抜け出す台本
「問題はここからです。ご主人は一筋縄ではいかない人のようですから、まずひとつずつあなたの思うように変えていく必要があります。一遍に変えようとしない事よ」
彼女はうなずく。
仲人が教える、夫に自分の意見を伝える方法
「真っ先に、パートでいいのでお勤めに出ることを宣言なさい。それで離婚する、と言ったら離婚届の用紙を区役所からもらってくること。その離婚届に彼はハンコを押しません。あなたのように便利な女は他にいないからです」
「そうでしょうか…?」
「口に出すからには実行する覚悟で臨まなくてはいけませんよ」
彼女は「はい」と真剣な面持ちで私を見た。
「ここからが大事よ。離婚届にハンを押さなければ、もうあなたの勝ちなのよ。そこですかさず提案するの。『パートに出るのにろくな洋服がないので恥ずかしいから買って』ってあなたが甘えるの。できるわね」
「う~ん…、はい、やってみます」
彼女は少し考えてから言った。
仲人が教える、夫と一緒に買い物に行く効果
「まだ続きがあります」
「ええ!」と、彼女は少し大げさに驚いて見せた。だんだん芝居がかってきた。
「洋服買うために、彼に付き合わせるのよ」
「ええ来るかなあ」
「そこなの、なにも特にシナをつくる必要はないのよ、真面目に『ついて来てほしい』って言えばいいの、どうせあなたは、なよって、できないんでしょ?」
彼女にほほ笑みが出てきて、「たしかに!」と言った。
私は続けて、「彼のような、武骨で自分本位なヤツは、オンナの買い物に付き合うという非日常的な案件に興味を示すに決まってる!」と私はすこし乱暴にものを言った。
女性が仲人のアドバイスを受け入れて帰る様子
すると彼女は無言で『そうだ、そうだ』とばかりに両手のコブシを握り、力をこめた。
彼女は帰りぎわ、「ごめんなさい、最初にお出しするのを忘れていました」と言って、北浦和駅前ベーカリーのケーキの小さな包みを手提げごと置いた。
なんだかすっきりした、吹っ切れたという面持ちで玄関まで行き、私の先ほどに言葉をまるで反すうするようにして帰っていった。
私は『あ~あ、これも仕事のうちか…、何かをつかんでくれて帰ったならいいわよ』と独りごちた。
仲人が見た、セックスレスから抜け出した女性の変化
ところが、その石井まりさんが約半年後に再び訪ねてきた。こんどは北浦和駅前ベーカリーのケーキの手提げ袋は相当大きくなっている。
そしてこぎれいで可愛げな洋服に変身していた。相談室のドアの前へケーキの袋を少し乱暴に落として、「先生!」私のことをそう呼んで、抱きついてきた。
耳元で、「私幸せです、いま幸せです!」彼女の涙が首筋に落ちたようであった。
私は彼女が半年前とは人が変わったように豊かな感情を表に出して、開放的な人柄に変貌しているのが信じられなかった。
女性が仲人の台本に従って夫との関係を改善した結果
「あなた、ほんとうに石井まりさん?」と、わざと言ってみた。
「まりです、石井まりです」
彼女はソファーに掛けても次から次とこぼれてくる涙をふくのに忙しかった。感情が抑えきれないまま、彼女がとぎれとぎれに話すのをまとめると、要するに、私の授けた『台本』どおりに演じたら、彼がすごく優しく変貌を遂げたということである。
「でも、先生の台本はよくできていましたが、演じるときの私の緊張感は半端じゃなかったです」
「そう偉いわ、結果がわからず演じるんですものね、本当のお芝居ならやり直せるけれど、実生活ではそうはいかないわよね」というと、彼女はまた新たな涙が頬をこぼれた。
女性が夫婦関係の問題を解決するために必要だったこと
彼女のように、パートナーの強い意思に影響され過ぎて、自分の意見も述べられないようでは、夫婦としての生活そのものが成り立たないと思う。
相手の価値観を大事にするあまり、自分の考え、生き方が生かされていないようでは、自分のためばかりか、相手のためにもならない。
今回の事例では、彼女のご主人の、その後の言動は語られてはいないが、容易に想像がつきます。彼女の提案を、それはバツが悪そうに、最初は受け入れていったのではないか。
そして彼にとって非日常的な事柄が徐々に楽しい日常に変わっていったことは想像にかたくない。大事なのは「心のキャッチボール」でしょうか。
埼玉県さいたま市浦和区にある成婚第一主義の結婚相談所です。
1979年(昭和54年)創業の実績と豊富なノウハウで、お見合いから成婚までを婚活カウンセラーが親身にサポートします。
結婚相談所連盟のBIU、NNR、IBJ正規加盟店。
婚活無料相談や婚活セミナー、お見合いパーティーなど、さまざまなサービスを提供しています。
アクセス:JR京浜東北線 北浦和駅西口徒歩3分
埼玉県営北浦和公園(埼玉県立近代美術館)と埼大通りを挟んだ向かい側
事業内容:結婚相手紹介サービス・結婚相談所開業支援(会社概要)
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