仲を裂く母親と戦闘態勢!結婚させるために仲人は会員の盾になる

お見合い結婚体験談 備忘録

 

【あらすじ】

仲人同士で、二人のデートの場所と時間を設定した。 東京駅の丸の内側のホテルラウンジを選び、午後2時とした。 夜9時近くになって、男性医師から私に電話が入った。「僕たち結婚することに決めました」と彼が言う。私は耳を疑った。

 

「難問は母です。今後あなたに相当迷惑をかけると思いますが、ぜひ私たちのために援護射撃をしてくださいますか? 」と彼。「もちろんです。縁を結ぶのが仲人の役目ですから」 とっさに私は答えた。 翌日の午前中、男性医師の母親が訪ねてきた。私は対決モードに入っていたが…

 

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第10回 二人の仲を引き裂く母親の盾になる覚悟

 

目 次
  1. このカップルを何が何でも“結婚させる”
  2. 初デートのカップルが婚約口約束を報告
  3. 盾になる覚悟で会った母親が交際認める

 

《成婚者プロフィール》

 

【高島竜彦(仮名)31歳・富山医科薬科大卒・医師・さいたま市在住】

 

【妻は仲人名人】

 

昭和から平成の時代にわたり、“仲人おばさん”としての経験を備忘録としてノートに書き留めていました。今は息子の嫁が仲人を継いでいますが、少し時間ができましたので、時代はとびとびになりますが、創業者が当時を思い出すままブログに書きます。

 

仲人名人の埼玉新聞記事
 

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この二人、何が何でも“成婚”させる!

 

26歳で始めた仲人業最初の入会者が31歳の医者であった。医者が会報(良縁ニュース)に載った途端に女性からの申し込みが殺到した。

 

しかし、まず母親が、申し込んできた女性のプロフィールを見に来て「全員お断わりして」ということであった。でも私のお節介精神がじゃまして一人だけ断らなかった。

 

《成婚相手プロフィール》

 

三田鈴子(仮名)学習院大卒・27歳・会社員・水戸市在住】

 

ところが当の医者が見に来て「私に会わせてください」という。これは本人が意地を張った。母親はそれにまけて「お見合いだけよ、お見合いだけしてお断わりして」という。

 

そして彼は茨城県の水戸までお見合いに出かけたのであった。そして「ぜひ交際したい」というわけである。母親になんて言うかである。

 

「私は悪いけど交際することにした、と言いますよ」

 

こともなげに言う。では申し込んできた10人のうち1人だけ残して、その女性とお見合いにまで発展させてしまった私を、母親は責めるに違いない。私の直感では、彼がその彼女を気に入るというより、二人が結婚まで行くような気がしていた。

 

「あなたの勝手でお見合いまでさせたからこういうことになるのよ。責任取りなさい」

 

案の定、翌日言ってきた。私はひたすら謝った。が、

 

「このかたが付いたら、お宅の結婚相談所をやめますから」

 

という。やむを得ないと思った。私はこの二人を何が何でも「結婚」まで持っていくより他ない、と決心したものでした。

 

初デートのカップルが婚約口約束を報告

 

結婚することを決めたカップル 

 

仲人同士で、二人のデート場所と時間を設定した。東京駅の丸の内側のホテルラウンジを選び、午後2時とした。午後にしたのは最初から食事は避けたほうが、気楽に交際をスタートできる、という含みがあった。

 

当日夜8時ごろ竜彦さんの母親から電話が入った。言うのを忘れていたが、当時は携帯電話がない時代であった。

 

「竜彦がまだ帰らないんだけれども…、こんな遅くまで何してるのかしら‥」

 

と、あとの言葉は独り言のように言って不安そうであった。お見合いではなく交際なんだから、ありうることであった。こちらに連絡はないか、ということであった。一瞬、女性側の仲人に電話を入れて確かめようと思ったがやめた。いちいち干渉することはない、と考えた。夜9時近くになって、当人から私に電話が入った。

 

「僕たち結婚することに決めました」

 

と彼が言う。私は耳を疑った。何をおっしゃっているの?と言おうとしたが、声が女性に変わった。

 

「三田鈴子と申します。この度はいろいろお世話になりました。高島さんからお聞きしました。おかげさまで、なにかご縁が深いような気がしまして」

 

「いえいえ、そんな。それより結婚しますって高島さんおっしやいましたが、よろしいんですか鈴子さん」

 

「はい、かまいません。ただ真剣に交際させていただくということで…」

 

少し安心した。思ったとおりのしっかりしたお嬢さんである。考えてみたら当時私のほうが年下であった。彼が受話器を取ったようである。声が弾んでいる。「先生‥」と彼。先生とは私のことである。

 

「難問は母です。今後あなたに相当迷惑をかけると思いますが、ぜひ私たちのために援護射撃をしてくださいますか?」

 

「もちろんです。縁を結ぶのが仲人の役目ですから」

 

とっさに出た言葉であったが、我ながらよく言ったと思った。

 

「たいへん心強く思っています」

 

「お母様心配しておられたわ。お電話してあげて」

 

と言って切った。

 

盾になる覚悟で会った母親が交際認める

 

翌日、午前中、竜彦さんの母親が訪ねてきた。私は対決モードに入っていたが、彼女は明るかった。

 

「いろいろありましたが、男と女、出会ってしまえばこういう結果もあるということですね。息子には一晩じゆう頭を下げられましてね。あんなに真剣に私にものをいう息子を見た事はありませんでした。ああ大人になったんだ、私も大人にならなければってね」

 

それを聞いて思わず涙が吹きでたが、頬を流れるままにした。ここは可愛い会員さんのために、自分が盾になって頑張ろうと戦闘態勢だった緊張感がいっぺんにヘナヘナになったのだ。“高島竜彦!男だね!”とその時、彼も頑張ったと思った。母親も私にもらい泣きして嗚咽した。そして、

 

「あなたもお若いのに、その座った根性は何をやっても成功するわね」

 

母親は「いずれご挨拶に伺います」ということで帰って行った。私は彼女が帰ってからもしばらくは放心状態であった。

 

竜彦さんと鈴子さんが半年後に披露宴を挙げたのは言うまでもない。

 

(この項完了)

 

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