お見合いでフルネームの交換はしていいの？婚活体験記40代男性

結婚相談所レポート 婚活体験記43歳男性

【あらすじ】
本名（フルネーム）で登録する、「Facebook」などのSNS（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）を利用する人が多くなっています。

フルネームがわかると、SNSの自己紹介、写真や投稿から個人のプライバシー情報が本人に断りなく判明してしまいます。

そのため、結婚相談所では、個人情報保護法に基づき、お見合い成立時は名字のみの交換になっていますが、お見合いで、本人が同意の上ならフルネームの交換もOKです。

認定個人情報保護団体MCSAに加盟、結婚相談所マル適マークを取得する、1979年の創業より、埼玉県さいたま市で“成婚にこだわった”サービスを提供し続けている、結婚相談所KMAがレポートする「婚活体験記ブログ」です。

《第4回》

《婚活体験を綴る男性のプロフィール》
【石田修（仮名）43歳・大卒・会社員・168cm・67kg・埼玉県草加市在住】

結婚相談所の仲人カウンセラーさんに婚活体験記を書いてみたら？と言われ、引き受けてしまったが、作文は正直得意でない。でも貴重な体験になるし、それを記録として残すことに意義があると思ったので引き受けた。

JR大宮駅の西口にあるパレスホテル大宮のフロントロビーで初対面をして、奥まったラウンジで向かい合って座った二人だけれど、少し沈黙があった。と、

「あのう、何からお話ししましょうか」と彼女が口火を切った。

「そうですね、仲人カウンセラーが言っていましたが、何か、結婚相談所連盟のルールでは、個人が特定できる情報に「氏名」が含まれることから、個人情報保護法に基づいて、これは経済産業省の指示らしいのですが、お見合いする前には、フルネームを交換しないのですね」

「そうなんですか？わたし知りませんでした。うちの相談室では何も言いませんでした。そういえば、お見合いのお相手は石田さんという方です、としかお聞きしてませんでした」

「なんでも最近、実名で行うSNSが浸透してきているせいだとのことです」

「そういうことなんですね」

「ただこういうお見合いの席では、会員本人の同意があれば氏名を公開してもいいらしいです」と僕は言ってから、「うちの仲人カウンセラーはお名前はあえて聞かないほうがいいと言ってました。聞けば半ば強要することになるからだそうです」

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「そうですか、なにか難しいのですね、フルネームはいつ言うのですか？」と奥田さん。

「あの、フルネームは交際になってから交換するそうです」

「そうなんだ、では交際にならなければ下の名前はお相手にはわからずじまいになるんですね」

「そのようです｣と僕は言ってから、「ぜひ名前の交換をするようになりたい、と思います」

俺としたことが‥と、言ってしまってから「ずいぶんと気の利いたことを言えたものだ」と自分で顔を赤らめた。

奥田さんも、「あら…」と言って下を向いた。

「ですから奥田さんの名前は、知りたいですが今は聞きません」

「あらいいですよ、言っても！」

奥田さんは「ぜんぜんかまわない」という表情で目を丸くした。

「‥‥」

僕は下を向いて黙った。「でも強要はしてない‥」と胸でつぶやいた。

顔を上げると奥田さんと目が合った。二人は思わず笑った。

奥田さんはすぐには名前を言わなかった。

僕は思いきるように言った。

「僕は石田修といいます、修学旅行のしゅうです｣

「おさむちやんですね｣と奥田さん。

「小さいころご近所におさむちゃんといういたずらっ子がいました」

「いたずらっ子ですか、そういえば僕もその口かもしれないな」

「あらそうですの？」

「どちらかというと、おとなしいほうじやなかったかも」

「私は奥田幸と申します、サチは幸いとかきます」

少し息が荒かった。緊張したのだと思う。すごくかわいいと思った。

「ああ、幸いのサチですか、かわいいですね」と僕は言っていた。

奥田幸なんていい名前だと本当に思った。

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