お見合いなぜか本心じゃないことを言う！結婚相談所体験記30代

お見合い話題を相手任せにしては嫌われる

大宮駅東口の「高島屋」7階の喫茶室でお見合いしている。

入会した結婚相談所の仲人カウンセラーからは、「お会いする時間は、最短1時間ね。10分なんてダメよ」と言われている。

お見合いは1時間を過ぎているが、私は相手からどう見られているのだろう、と考えたとき、たぶん退屈で「なんて面白くない女だ！」と思われているに違いないと判断した。

なぜか。考えてみれば、自分主導で会話の展開をしていない。お見合い相手の一ノ瀬さんが話を切り出すままに、うまく？答えているだけだ、と思った。これでは退屈な女、というより「何のためにお見合いに来たのだ」となるはずだ。

それよりも「俺に興味ないでしょ」と思われても仕方がない。

ズルい考えかもしれないが、「お見合いでは、男性に関心を持ってもらうように、自分を見せなければ交際には進めない」と考えた。

私が入会した結婚相談所の仲人カウンセラーは、義母の仲人の仕事を受け継いだ「親子二代」だそうである

「義母がよく言っていました」という。

「お相手に、断られない努力をしてください」と、いつも会員さんに諭していたと、入会の時言っていたのを思い出した。

その時はどういう意味なのか、はっきり分からなかったが、いま目の前の彼から、“お見合いでお断り”の原因をつくっているのは自分だ、と思った。事実彼は、

「きょうは楽しかったです」と言って、お見合いを早く切り上げようとしているのだ。

私はあせった。

自分の本心と裏腹な言葉が口を突いて出る

ただ彼は、自分の出た大学（どこだか言わないのだが）と私の大学とでは偏差値が違いすぎるから「今日のお見合いを断わろうとした」と言っていたのが頭をかすめる。

私の出た大学のほうが偏差値が高いというのだ。

私は思わず、「またどこかで…」と本心と違うことを口走っていた。

彼はそれを声に出さずに、ロの中で復唱したのを私は気づいた。

「また、お会いしたいですね」と、私は補足した。

私は「断られない」努力を少しだけ、したのであった。

ウソでなく、その気持ちは心から思ったことでもあったが…。

二人は大宮駅改札近くのコンコースにある「まめの木」のオブジェ前で別れた。

私は「京浜東北線」の上りで三つ目であったし、一ノ瀬さんは高崎線で下っていくのだ。

かれは緊張した面持ちで「どうも‥」と言った気がした。

お見合いは本音を言えないとお断りになる

「お見合いの結果は遅くとも翌日のお昼くらいまでに返事をしてね」と仲人カウンセラーから言われていたので、そのとおりにした。

月曜日のお昼休み、外へ出てすぐ電話を入れた。彼ともうー度会いたい、と伝えたのだ。ちょうど仲人カウンセラーがいた。

「京華さん、残念だわ、お断りが入ったのよ」

「そうでしたか、やっぱり‥」

「心あたりあるの？」と仲人カウンセラー。

私は、「断られない努力を怠りました！」と悪びれることなく言った。

「そう、あなたはかしこいわ。今度はうまくしましょうね」

なるほど「お見合いってこういうものか」いまさらながら思った。