お見合い切り上げ方のアドバイスをふと思い出す 婚活体験記30代

結婚相談所レポート 婚活体験記34歳女性

【あらすじ】
お見合いの流れで公園散歩なんて有りだろうか？と考えながら別所沼公園に向けて歩いていた。歩きながら話をするうち、文教都市浦和の中でも進学志向の強い小学校に、彼と同じく通っていたことが分かった。

また、二人が会話する中で、興味のある学問が同じ哲学だとわかると、彼は、歩くのを止めて私を見て、目を輝かせた。

1979年の創業より、“成婚にこだわった”婚活サービスを続けている、結婚相談所KMAがレポートする「婚活体験記ブログ」です。

《第7回》

《婚活体験を綴る女性のプロフィール》
【池田彩乃（仮名）34歳 千葉大学卒 会社員 168cm 65kg さいたま市在住 両親同居 妹1名】

入会した結婚相談所の仲人カウンセラーに婚活体験記を書いてと言われ、文章は不得意というわけではありませんが、「こと自分のことになると書けるかどうか‥」というと「書くことで自分を顧みるチャンスよ」といわれ、承諾しました。どうなることやら。

お見合いの流れで公園散歩って有りだろうか？と道中考えながら、お相手の男性と歩いていた。彼が別所沼公園へ行きたい、と言い出したからだ。

歩きながら話すうちに、公立小学校であっても、進学志向が極めて強い常盤小学校に、彼と同じく通っていたということが分かった。彼が1学年上である。

彼に問われるまま常盤中学、浦和西高から千葉大教育学部へ行ったことを言うと、驚いていた。彼は、教育学部なら埼玉大学だろうと言った。

そのころ私は、勉強したくない気持ちが強く、当時は、さいたま市（旧浦和市）を離れたくて（というより実家から出たかったといったほうがよい）、千葉大学を受験した。埼玉大学なら歩いても行けたこともあって、両親は反対した。

結局わがままを通した。国立大学は学費が安いからいいか、ということになったようだ。妹は母と同じく早稲田大学へ行った。

「僕は浦和実業から東洋大学へ行きました」

「東洋大学で何を？」

「僕はインド哲学です」

「ああ有名ですね」

「一種の宗教なのですが、僕なんかウパニシャッドというインド古代の哲学書なるものが何だったのかが、今もってわかりません」

彼は言って「ハハハ」と声を出した。

「私、ほんとうは哲学というものに取り組んでみたかったんです」

高校の頃、東洋大学を受験の対象にしていたことを思い出した。インド哲学もその範囲だった。が、結局西洋哲学に傾倒していたと思う。

ソクラテス、プラトン、アリストテレスなどという哲人の名前を浮かべるだけでワクワクしていたようだ。彼は、歩くのを止めて私を見て、目を輝かせた。

「本当ですか。そんなことを聞けるとは思わなかった」と言った。

「大学を入り直せたら、哲学をやると思います」

自分でも思わぬことを口走ったと思ったが、そうだ、そうなんだ、自分はそうしたいのだと得心した。

「へええ、すごいんだなあ」

彼は目を丸くした。

別所沼公園へ着くと、風があった。葉桜も過ぎたのに風が吹くと少し寒かった。別所沼のまわりでは、そこここで親子連れが釣り糸を垂れていた。

通りすがりに二人で、釣り人のバケツを覗いた。

「これ手長エビ、これクチボソ」と岩野さんは指さした。釣り人の少年が彼を見上げてにっこりした。釣果を誉められた気分なのだろうか。

そう大きくはない沼全体は、それでも人を街の騒がしさから隔離するには十分であった。私は小さい頃の印象とだぶらせながら、ほほえましい光景を見ていた。

しかし、自分は今、お見合いをしているのだ。

「お見合い時間は長くても2時間だわね。あんまり長いとその日で判断せざるを得なくなるみたい。ですから仲人の経験則では、適度なところで、お見合いを切り上げておくほうがいいですね」

私はふと我に返って、仲人カウンセラーの声が聞こえた気がした。

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