結婚相談所レポート 婚活体験記32歳男性
【あらすじ】
お見合いドライブの後、彼女に熊谷駅まで送ってもらった。お相手の女性は、自分の弟の自閉症ということも条件に入れて交際するかの判断をして欲しいという。
僕は、「そんなあなたでもいい」と伝えるが、彼女の別れ際の挨拶をどう捉えればいいのだろうか…。「お見合いというのは条件の結婚です」 とは、僕が入会している結婚相談所の仲人カウンセラーの言葉である。
1979年の創業より、“成婚にこだわった”婚活サービスを続けている、結婚相談所KMAがレポートする「婚活体験記ブログ」です。
《第6回》
《婚活体験を綴る男性のプロフィール》
【矢橋達也(仮名)32歳・高卒・会社員・169cm・65kg・さいたま市在住・両親同居・妹1名】
入会した結婚相談所の仲人 カウンセラーに婚活体験記を書けと言われ、学校も職場も機械いじりばかりで、作文は書いたことがないが、この際経験してみようと思い承諾した。先はどうなるかわからない。
お見合い別れ際…彼女の断り方なのか?
僕は熊谷駅まで、お見合い相手の山下さんに車で送ってもらった。僕の熊谷市についての知識はそれほど持っていない。ひところ、夏の気温が日本で一番高いことが話題になったことと、小学生のころ確か「秩父鉄道」に乗って遠足に行ったことがある。
「ここが秩父鉄道の改札口です」
彼女はそう言って指さした。そういえば改札ロがいかにも秩父鉄道って印象だ。何か昔と少しも変わっていない気がする。それにしても彼女はけなげで優しい。
お見合い場所の喫茶店を出て、クルマでドライブしてくれたのだった。途中、利根川の橋を渡ったところで、意を決したように会話を始め、「弟が自閉症なの」と打ち明けた。
「お見合いというのは条件の結婚です」とは、僕が入会しているさいたま市の結婚相談室の仲人カウンセラーの言葉である。
そうしてお見合い相手の山下さんは、自分の弟の自閉症ということも条件に入れて自分を見てほしい、というのだ。僕はその場で、「いや、山下さんがいい、と思っている」と言うようなことをとっさに言った。
熊谷駅の改札口で別れる時、山下さんは、「婚活がんばりましょうね!」と、右手だけで小さいガッツポーズをして、渡辺直美似の笑顔で、赤い口を見せた。
彼女の、その急な言葉に、僕は言葉を失った。
彼女は自分のことを「どうぞ私をお断りしてください」という顔をしたのだろうか。ということは僕は「断られた」のだろうか?
いつもの僕なら、あきらめ癖で「ではお元気で、お互い頑張りましょう」とか言って別れたかもしれない。
僕は「これって、永遠の別れ」のことか、と思うと、なんだか寂しく思った。僕はSuica(スイカ)を通して改札に入ってから振り向いた。笑顔の山下さんがまだ手を振っていた。
僕は改札機にからだを寄せて、「このまま別れたくない‥!」と、とっさに言っていた。
彼女は左手を耳に当てて「えっ?」と小さく聞き返すように言ったが、僕の言葉は聞こえていたようだった。彼女の顔がみるみる赤くなるのがわかった。
僕はと言えばこれまで生きてきて、このような言葉など初めて口にしたので、次につなぐ言葉を思いつかないでいた。
「ありがとう、相談室に連絡しておきますね」結婚相談所のことだ。
山下さんは、赤い顔のまま真顔で言った。助け舟を出してくれたのだった。どうしてだか、僕は深く一礼した。すると彼女のほうも同じように深く一礼した。
僕は婚活の最初のお見合いで、自分の発した思わぬ言葉に、これまで胸につかえていた正直な気持ちの発露といった意味で、解放された思いがしていた。いわば吹っ切れたわけだ。
いままで女性に苦手意識を持ちすぎて、自分の気持ちを素直に表現できないまま32歳まできてしまっていた。
結婚相談所のお見合いが安全で確実
正直、これまで友人に誘われて婚活パーティーや、お見合いバスツアーに1回ずつ参加したことはあったが、そうした婚活イベントの意義もたしかに認めるが、やはり今回のような仲人さんを介した出会いが安全で確実なような気がする。
なぜならそのイベントでは学歴、収入、年齢、独身などの証明書は提出しない。
結婚相談所の仲人カウンセラーがいうように、
「ご自分を証明する公的な書類を提出して、“自分はこういうものです”って正々堂々とお会いする、これが結婚相談所のまず良いところです。何よりも、いちばんすぐれているのは、お二人が出会った後のフォローができている、というところです。お見合いの場所、日程調整をきちんとします」
と言ってから仲人カウンセラーは、「もっと重要なのは、交際の意志の確認と、場合によっては状況の判断までさせていただくことです」と付け加えた。
最初に結婚相談所に行って、それを仲人カウンセラーが言ったときは、自慢している、と思ったものだが、じっさい、いざお見合いとなった時は、やっぱりあの仲人カウンセラーの存在は必要だと痛切に感じる。
事実、僕は「別れたくない」山下さんと今さよならすると、断わられたらこの先もう会えない。まあしかし、断わられたらどのみち会えないのだが。
僕はその日のうちに仲人カウンセラーに一部始終を語った。その都度「そう、そうなの」と彼女は聴いてくれた。もちろん交際したい旨も伝えた。
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