結婚相談所レポート 婚活体験記37歳男性
【あらすじ】
ホテルラウンジでのお見合い後、人で溢れている浅草寺の仲見世通りを案内してもらっていたら、急に「スカイツリーに登りませんか?」と彼女に言われた。
スカイツリー開業当初は、チケットを予約購入しておかないと入場できない状況でしたが、今では当日訪れても並べば(行列必至)の展望台入場券を入手できるようです。
1979年の創業より、埼玉県さいたま市で“成婚にこだわった”サービスを提供し続けている、結婚相談所KMAがレポートする「婚活体験記ブログ」です。
《第3回》
《婚活体験を綴る男性のプロフィール》
【佐藤翔也(仮名)37歳・大卒・会社員・埼玉深谷市在住・173cm・68kg】
「婚活体験記書かない?」と担任の仲人カウンセラーに勧められた。算数よりも国語のほうが得意だったのと、強制的でなく婚活日記のつもりでよいと言われたので書いてみようと思います。
お見合い後彼女の希望でスカイツリーに登る
「スカイツリーに登りません?」と、お見合いなのに大熊美奈さんは言った。
僕はあっけにとられた。
「…」と僕は思った。
「美奈さん、地元なのにまだ一度も上ってないんですか?」
「そうなんです、一度も! 入場料は私が払いますから行きません?」と言った。
どうして今なんだろう、どうして俺なんだろう、と一瞬思った。
でも僕は、「行きましよう」と言っていた。こういうのって灯台下暗しというのだろうか。いや違うか?
「佐藤さんも?」と言って美奈さんは、「初めてですか?」
「もちろんです、最初は何日も前から予約してでなければ登れなかったようですね」
「そのようですね」
「僕はそういうのが苦手というか」
「私もそう、そういう意味では新しいものにすぐ飛びつくというのはないですね」
同じか、と二人の距離が縮まった気がした。
婚活初デート代は男性持ちが当たり前なの?
「東京タワーなんかも偶然に一度行っただけですしね」と美奈さん。
僕は「入場料」について考えていた。彼女が払うとは言ったが、やはり「俺だろう」と思った。
確かに結婚相談所のカウンセラーは、「お見合いのお茶代は男性が払わなければなりません。まれに女性のほうの仲人さんが同伴する場合がありますが、それは仲人さんが支払います。仮に割り勘でと女性から言われても、お任せください、って言うんです」と言っていたが、当日のこの「突発事故」にはどう対処すればいい?
考えているうちに、5階までの上りエスカレーターが終わり、案内嬢に指示され、受付にいた。一名2,060円と書いてある。
「僕が払いますから」と言ったら、「いいんです、言い出したのは私ですので」と彼女は私の前へ並んだ。
「僕、お金持っています」と思わず言っていた。
「それはそうだと思いますが」と言って噴き出した。
美奈さんはすでに財布からお金を出していた。彼女の手は早かった。意志の強さが感じられた。
僕は自分で顔が赤くなるのがわかった。なぜもっと気の利いた言葉が出ないのだろうと悔やんだ。どうしてあんな子供じみた言い方しかできないのだろうか。
それよりも、事後策としてすかさず彼女を押しのけて、「僕も男ですから女性に支払わせるわけにはいきません。ここは是非払わせてください」とかなんとか言えなかったのかと。
婚活デートのボディタッチはセクハラ行為!
展望台に着くまでの混み合うエレベーターの中で、彼女と体を接しながら、そんなことを恥じていた。
エレベーターが着くと入場者は一斉に「わー」という歓声があがった。そこは東京タワーの全長よりも10m以上高い344mの位置にあった。
曇り空だったので、そこまで高いと少しもやのようものが出ていて、はるか遠くは見えなかったが、都内全域くらいは見通せた。いままでいた浅草寺は隅田川をはさんで見えた。
両国国技館はもちろん東京タワーもわかったし、亀戸天神社など一望のもとに見えた。晴れていれば富士山はもちろん筑波山から赤城山なども見えるらしい。
美奈さんが唯一嬌声?奇声をあげたのは「ガラス床」だった。思わず飛びのいて、そばの初老の男性に抱き着いたほどだった。男性はにやにやしたが、僕ではだめだったのか、などと一人不満だった。
床がガラスで透けているので、スカイツリーの鉄骨が下まで続いていて、ガラスの強度が心配になるほどの透明感である。高所恐怖症の人は気を失うのではないかと思うほどだ。
駅へ行く前に、下の「ソラマチ」で喉をうるおした。そこのソフトクリームとコーヒー代は僕が支払った。美奈さんは顔が丸くて可愛い系なのだが、歩き方が何か颯爽としていて少年のようだった。
そのバランスが僕は気に人っていた。電話番号を交換したかったが、お見合いのルールで禁止されていたのを思い出した。
僕は交際したいと思った。彼女から明日どのような返事がくるのか、ドキドキものだった。
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