妻と別れたい男の離婚準備?結婚相談所を訪ねる別居中の男性心理
お見合い結婚体験談
これは15~16年前のお話です。独身ではないけれども「離婚予備軍」ともいうべき男性から相談を受けました。只今、妻と別居中とのこと。
「これからどうしたらいいのか‥」「妻と別れるべきか、子供のために離婚しないことが正しいのか」という“熟年離婚の人生相談”でした。もちろん離婚が成立していない以上、結婚相談所には入会できません。
結局2度ほど相談にみえて1年後に“離婚成立”、うちの結婚相談所へ入会して、結婚したのですが‥。
《相談者》
【田中館 翔(たなかだて しょう)=仮名・48歳・次男・ 大学卒・ 会社員・さいたま市在住・生別・175cm・68kg・ 父亡・高卒・母73才・高卒・兄・既婚・妹・既婚】
《妻は仲人名人》
昭和から平成の時代にわたり、“仲人おばさん”としての経験を備忘録としてノートに書き留めていました。今は息子の嫁が仲人を継いでいますが、少し時間ができましたので、時代はとびとびになりますが、創業者が当時を思い出すままブログに書きます。
妻と離婚したい男性が結婚相談所に相談?
田中館 翔さんという珍しい苗字の男性が、正月明けに訪ねてきました。玄関先にミカン箱を重そうに抱えて「これどこへ置いたらよろしいでしょうか?」という。とりあえず相談室に置いてもらった。「みかんです」と彼はソファーに掛けるなり言った。
「きょう、たいへん失礼だとは思ったのですが、私の人生相談をお願いしたいと思いまして‥、お金とも思ったのですが、それもなんだと思いまして…」
彼が傍らの箱のふたを片手であけたら、たくさんのみかんが顔を見せた。どうやら婚活以外の相談のようである。
アポイントの電話の時、なにやらもぞもぞ言っていた。日本では臨床心理士というカウンセリングの専門家が存在するが、どこにでもいるというわけでもない。
アメリカのように街に事務所を構えて、仕事としてカウンセリングをするほどの社会にはなっていない。また、カウンセラーという資格そのものが日本の社会に浸透していない。
にもかかわらず人間の営みの中(とくに家族間)に「悩み」や「憂い」は尽きない。誰に相談してよいか途方に暮れている人が多いように思える。
結婚相談所の仕事もカウンセリングの一環と言えば言えなくはない。結婚相談の範囲内のカウンセリングであるが、これが人生の岐路における人間の相談なので、まさに臨床心理のカウンセリングなのである。
かといってこの男性のように直線的に結婚相談以外でカウンセリングを受けたいと言ってきた人は、私の長い人生のうちでは珍しい。
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「まず、ご相談の趣旨をお聞かせください」
と私。「ありがとうございます」と彼は丁寧に言って「その前に」と言いながら「私はこういうものです」と名刺をテーブルに置いた。航空会社に勤めている。彼は話し出した。
「まず、私と妻との問題です。妻とこの10年近くベッドを共にしません」
と切り出してから、話し出した内容は以下のようなものである。
娘が悲しむ…離婚したいけど踏み切れない
夫婦の間に高校3年の女の子がいる。目に入れても痛くない。だが娘が小学校に入る頃から、いつの間にか夫婦の間に溝ができてしまった。彼の妻は看護師として病院に勤務している。つまりこれまでずっと共働きである。
妻の不規則な勤務体制を補うように、彼は娘と自分の弁当を毎日作り、朝晩の御飯もいつの間にか彼の日課になった。彼の料理の腕前は「一流ですよ、普通に料理していますから」という。
さいたま市浦和区にある4LDKの戸建ての家は彼の名義である。父親が事業家で、亡くなる前に家を生前贈与として建ててもらったとのこと。
何度となく妻に離婚を切り出すが、離婚届にサインしない。彼も一人娘のことを思うと、積極的に離婚届にハンコは押せないでいる。
最近は妻に離婚を切り出すと「家の名義変更してね」と言うそうだ。そのうえ「貯金は折半しましょうね」と言う。彼が言うには「私が離婚決意できないことを前提に、そういうことを言っているんですね」と、その辺は彼もわかっている。
「娘を悲しませたくないんですよ」
と彼は、ため息とともに言った。ここでは私は「お嬢さんを悲しませたくないんですね?」と寄り添うように言うべきである。
少なくとも私が習ったアメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズの流れをくむカウンセリングの手法はそうである。だが私はその手法を使いたくない時がある。この時がそうであった。
子供のために離婚しない別居で距離を置く
「ご夫婦で会話はないのですか?あまり…」
と私は言ってみた。
「普段はですね、あまりないですね」
と彼。
「差し出がましいのですが、お嬢さんはすでに相当悲しんでいると思いますよ」
「そうでしょうか。明るいように見えますが…。私たち二人には普通に接してくれていますが…」
「それならよろしいんですが」
「それで、せめて娘が大学を出るころまでは離婚はしないようにしようと思うんです」
「それとお決めになったのでしたら、そうなさればよろしいのですが、高校二年生ともなればお嬢さんは、もうすでに大人として成長なさっていますよ」
「そういえば別居する前までは、あっこれはまだ申し上げていませんでしたね。実は一度、夫婦距離を置く別居期間を設けてみようと、私が判断して5カ月前からワンルームマンションを借りています。別居する前に娘が“ママと仲直りして”と言いました。家内にも同じことを言ったようです」
「ですから、もうすでに心を痛めていたということです、お嬢さんは」
彼はうなだれた。少し言い過ぎかと思ったがこれが私の流儀である。カール・ロジャーズのカウンセリングの手法では、こんな口の利き方はしない。
私は、別居して家を出る前に話し合えなかったのか、という考えになる。しかし、すでに別居してしまっているのだから次の手を打つしかないと、私は思った。
「ところで、夫婦関係は修復できないとお考えなのですか?ひたすらお嬢さんのことを思って離婚しないだけ、だと?…」
「そこなんですよ。私は妻さえ歩み寄ってくれれば関係を修復できると思うんですが、妻のほうが…」
と彼はつづけた。
冷めた夫婦関係の原因はどちらかの浮気?
「約1年前に10年間の福岡支店の単身赴任から帰ったのですが、そのころから冷めた夫婦関係になったんです。それまでは月に1回は戻っていたんですがね」
「航空会社ですから、飛行機代はほとんどかからないのでしょう?」
と世間話の私。
「それは、ただ同然なんですが…、妻の態度が変わったのは、単身赴任の2年目くらいからなんですが、何かあったのかと…」
「何かあったと思われるのですか?」
「いやあ、わかりません、そのころから私を拒絶し始めましたから…」
「奥さまに好きな人でもできたとでも?」
「わかりません、看護師の世界はよくわかりません。実はわが妻ながらわからないことが多いと言いますか、誰が見ても美人なのですが、あまり“感情を表に出さない”ことが多いんです。まあ“冷たい印象”と言いますか。日常も女性には珍しく感情に流されない冷静さを身につける女なんですよ」
私はそこまで聞いて、
「どちらかが浮気をしているということはありませんか?」
「僕がですか?」
と彼は自分の顔を指さしながら言った。私はそれをも否定せず、
「心が離れる原因は、どちらか一方か、又は両方が異性かなにかに、強く深く興味を持ったという時のような気がしますが」
「異性の他に興味を持つということは、価値観がいちじるしく変わった何か、ということですが」
と彼。
「宗教…?」
と私は小声でつぶやいてみた。それを彼は耳ざとく聞きつけて、
「それはないと思いますが」
「そうでないとしましたら、あなたを嫌いになる何か原因があったとしか思えませんが」
「僕が原因をつくったということですか?うむ、あったのかなあ」
と彼も真剣に考え始めた。しばらくの沈黙のあと、
「わかりませんね。思い当たる節は…」
と言いながら彼は考え続けている。この日は話を聞いただけで帰した。
離婚を決意した妻の行動は持ち家名義変更
半年ほどして田中館翔さんは再び訪ねてきた。貴重な干し柿を紙袋に入れて持ってきてくれた。彼は、「相談料がわりにしては粗末ですが…」
と言った。何か半年前より吹っ切れた面持ちである。胸を張るようにして開口一番、
「離婚して家を手放すことになりました」
と彼。
「結局、妻との離婚の話し合いで、娘が大学へ入学したら離婚することにしました。子供の親権は母親にして、持ち家の名義変更をするということで・・・」
「あら思いきりましたね。お父様からの生前贈与のおうちですから、争わなくてもあなたのものでよろしかったのに」
「いやーいいんですよ。近所に妻の両親も住んでいて、孫の娘可愛さに家に寝泊りに来たりしていますから…」
「まあそうなんですか、お嬢さんもそろそろ大学受験ですね」
「私立大学の指定校推薦を利用できるようですが、それとは別に進学したい大学があるみたいです。妻と同じ看護師になりたいらしいです。看護大学へ進学すると学費以外の諸費用がかなりかかります。でも、昔から妻の職業に尊敬の念を抱いていましてね」
「まあそれはよろしいことですが、あなたもこれから苦労なさいますね。学費も生活費も支払うのでしょう?」
「学費だけ4年間僕が払います。ボーナスの半分はもっていかれますが。あとはあっちには家があるんだし、妻も働いていますから」
「あなたは賃貸マンション暮らし?」
「まあ会社から住居費の補助もありますから、そこはなんとか」
「まあ気前のよろしいことで…」
話し合いで離婚が成立する婚活を始めたい
「そこでいよいよこちらでお嫁さんをご紹介いただきたいと思いまして…」
と彼は頭をかいた。私は入会時に提出してもらう必要書類の説明をした。
離婚を証明する書類の「戸籍謄本」や「戸籍抄本」「学歴証明書」「収入証明書」「国家資格証明書」とともに「本人身上書」の記入の必要性、「概要書面」や「入会申込み契約書」の締結の意味を説明した。
その後、肝心のおみあい相手女性を検索した。次の条件の一覧表を提示した。一度目は彼の希望を聞いて出力した。
年齢=38歳~45歳
身長=155cm~165cm
現住所=埼玉・東京・千葉・神奈川
続柄=問わない
婚歴=初婚・再婚
子供=なし
学歴=高卒~大卒
以上の条件の女性が検出されると、500名に達した。そこでお見合い相手の条件範囲を狭めた。
年齢=38歳~45歳
身長=160cm~165cm
現住所=埼玉・東京
続柄=問わない
婚歴=初婚・再婚
子供=なし
学歴=大卒
これで80名ほどになった。(※15~16年前のデータ)
これは男性の希望条件から選び出された分であって、彼が入会して会員になると、彼に女性からのお見合い申し込みが入ることになる。
彼は「再婚男性」ということなので、女性からお見合いを申し込まれる可能性は「初婚男性」よりは、少なくなる可能性が大きい。しかし、考えてみたら配偶者は一人でいいわけだから、まず結婚できないということはないであろう。
まとめ
《結婚は交際中の仲人カウンセラーのアドバイス次第》
田中館翔さんは、5月の新緑の時期に書類を一式用意して入会した。結婚した相手はなんと38歳の大田区居住の初婚・大卒・162cm・50kgの女性であった。
この結婚は、女性からお見合い申し込みを彼が承諾し、デートで彼女と仲を深めて、入会から3カ月で成婚に目処をつけたのである。
彼は女性が初婚ということで最初迷ったが、彼女の住まいが勤務地の羽田空港に近いということと、なによりも綺麗な美人だということで「とりあえず会ってみる、振られてもいいや、ダメ元でやってみる」などと私には言っていた。
しかし、交際を始めてみると、次第に彼女に好意を抱くようになり、何度も私の相談所に予約を取って来店しては相談した。まず女性は、彼の言葉で「なんで今年49歳になる再婚のおじさん」を選んだのか。相談はそのことについてであった。
私はおおよその見当はついていたが、交際を重ねるにつれて謎が解けてきた。彼女は子供を産めない身体であるということであった。「子供は欲しいですか?」と何回となく彼に聞いてきたようである。
彼としては「子供ができたら育てる覚悟はあるけど、子どもができなければ二人で幸せに生きよう」という返事をしていたらしい。
秋口に簡単な披露宴をして、羽田近郊のマンションを購入して新婚生活を始めたということである。彼が彼女を連れて成婚の挨拶に来て言った。
「いやあ、出会いって神様が授けてくれるんですかねえ」
と彼女のほうを見た。彼女は聞こえないくらい小さな声で、
「本当ですね…」
と口を動かした。
(了)
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