お見合い引き合わせが決め手!結婚できない理由を仲人が解決

結婚できない原因=「お見合いの心得」に問題あり。広田正人(仮名)さんの巻【後編】

 

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《交際エピソード》

 

広田正人さん。さいたま市に両親が住む方です。つくば市のある会社の研究所に勤める学究肌の男性です。婚活は6年前から大手と言われる、いわゆる結婚情報サービスの会社を2、3社転々としていたと言います。

 

収入はソコソコありましたが、結婚できないのは160cmという身長にあると思っている節がある。うちの女性会員さんを「お見合い引き合わせ」で紹介をしたが、彼女の言葉を羅列すると

 

「なにか投げやりなんです」

 

「こちらの目を見ないんです」

 

「用を思い出したから、これでって15分くらいで帰ったんです」

 

「わかっているはずなのに“趣味はなんでしたっけ”でしょう?」

 

「こういう方とはついて行けません」

 

ということになる。

 

これでは何人とお見合いしても結婚できません。

 

お見合い心得がわからない男性

 

《相談者》

【広田正人(仮名)42歳・東京農工大学農学部卒・会社員(研究所勤務)・つくば市在住・初婚・160cm・60kg・父70歳・高卒・元会社員・母68歳・高卒・39歳・大卒・既婚】

 

目次
 

 

今は息子の嫁に私のあとを継がせていますが、少し時間ができましたので、備忘録としてのノートを取り出して“仲人おばさん”としての集大成のつもりで書きます。時代はとびとびですが、思い出すまま書きます。

 

この世界にのめり込んだきっかけは、25歳の時(すでに結婚していました)私の大学時代の同級生と職場の同僚の男性を結び付けた「喜び」が始まりでした。

 

《お相手の彼女から聞いたお見合いNG情報》

 

女性から聞くお見合いNG情報

 

お見合いの二人を「場所を変えて駅前の喫茶店で、気兼ねなくお話しして。でもあとせいぜい一時間くらいですよ。お別れしたらお家へお帰りよ」と言って、私は送り出した。

 

そうして間もなくお見合い相手の山田美知子さんが相談室へ寄った。次の相談者を帰して話を聞いた。

 

「あらっずいぶん早かったんじゃない?どのくらいいました?」

 

15分くらいです。コーヒーが出てきてまもなく“ほかへ行く用があるから”って」

 

「ええ、なにそれ!」

 

私は思わず言った。

 

「それじゃ、肝心なことお二人でお話しできなかったでしょう、なんて言ってました?広田さんは」

 

「私の目をあまり見ないんです。そして、なんだか投げやりなんです。“僕は結婚というものにそんなに期待してないんですよ、母が結婚しない息子を残して死ねない、って言うものですから結婚相談所へ入会したんですよ、あなたはどうなんですか?”って。広田さん、なんだかイヤイヤ活動(婚活という言葉がまだない時代)してるみたいです…」

 

「それであなたはなんて?」

 

彼は後回しにして、彼女の今後の活動もあるので聞いてみた。

 

「はい、私はすぐにでも結婚したいです、いい人がいれば、と答えました。最後に“僕はどうですか?”っておっしゃったので、相談室の先生にお伝えします、と言いました」

 

「はい、それでいいのよ。それはそうよね。そのために皆さん一生懸命頑張っているわけですから。美知子さん偉い。そのくらい言わなくてはねえ」

 

とほめておいた。

 

《彼にはもっと真剣に結婚を考えてほしいと思う》

 

お見合いの翌日までに、お見合いの結果を相談室に連絡するのが、会員さんのルールということにしてあったので、広田さんからも電話があった。

 

「山田さん僕のタイプです、交際したいです」

 

「ふむ、そうねえ、山田美知子さんにも聞いておくわ。ところで広田さん、今度の土曜日空けられるならうちへ来ていただけますか?」

 

というわけで、彼女の返事を伝えずに土曜日を迎えた。

 

当時の私は、広田さんより3つくらい年上であったが、同じような年代であるのに、お見合いの席で、何で子供っぽい態度を示すのだろう、と真意を計りかねた。

 

お母様はじめご家族の人たちは皆さま彼に結婚してほしいと考えているのだ。彼にはもっと真剣に結婚を考えてほしい、と思った。

 

まず山田美知子さんからは断られた旨伝えた。しかし、あまり落胆の様子はない。

 

「なんて言っておられました?」

 

「結婚しようというお気持ちがあまり感じられませんでした、そういう方とお付き合いしたくありません、ということです」

 

私は彼女が言ったとおりに伝えた。彼は私を見ず、黙って頭をさげているだけだった。そのあと、うちでのお見合いの様子など、私の気が付いたことなどを話した。

 

《交際成立しない理由!お見合いマナーを注意》

 

まず、

 

“趣味はなんでしたっけ”

 

これを注意した。すると、彼は分かっていたのだけれど、話題提供という意味で口から出てしまったと言った。

 

「分かっていることなら、その趣味の内容について質問するべきです。そうでなければ、お相手は最初っから自分に関心がないんじゃないか、って思ってしまいます」

 

「よくわかりました…」

 

彼は神妙であった。“それと”と私。喫茶店のことであった。

 

「あなたにあの後ご用があったのですか?15分くらいで席を立たれたそうですが…」

 

「いやあ、そうじゃないんです。どうせまた断わられるに違いないから、あまり長居をしてもしようがないかなって思っちゃって」

 

私はすぐに言葉が出なかった。やおら、

 

「正人さん聞いてね。あなたがどう考えようと、お見合いにはお相手がいるのです。あなたもそのお相手も、ひょっとしたらこのお見合いで結婚が決まるかも知れない、と思って時間を割いてきているの。皆さん真剣に取り組んでいるのです」

 

「よくわかりました…」

 

と、広田正人さんはまた言った。

 

「この際聞いてね、あなたに言う人は、たぶん私以外いないと思いますので」

 

「なんなりと…」

 

殊勝である。

 

《婚活が面倒くさい!彼にはカウンセリングが必要》

 

カウンセリングする仲人

 

「山田美知子さんが、あなたをお断わりした最大の理由は、あなたが積極的に結婚というものを真剣に考えておられない、お母様が行けというから結婚相談所に入会している、本当は自分は結婚というものに期待していない、つまり結婚したくないと」

 

「いやあ、そんなつもりで言ったんじゃないんです。たしかにもう面倒くさくなったんです。そういう気持ちになってることは確かです」

 

私は、この彼がもっと早く私と出会っていたら、そんな気持ちにならないうちに早く結婚してもらっていただろうと思った。彼にはカウンセリングが必要なのだ。自分の思いどおりにいかないから、自分だけで、悩み、捨て鉢になっていたのだ。

 

「それとお相手の目を見てお話ししていますか?」

 

私はもうひと踏んばりだと自分を励ましながら言った。

 

「えっそうでしたっけ。見てしゃべってるつもりですがねえ」

 

「いいえ、少なくともそう感じられるようだといけませんよ。正人さん、あなたもお相手がそんな感じだと悲しくなるでしょう」

 

「まあ、悲しいですね…」

 

「それだったら、そうなさらないとね」

 

「ハイハイ」

 

「ハイは一回でいいんでしょ」

 

「ハイハイ」

 

「また!」

 

二人は笑った。そして広田正人さん言った。

 

《仲人が思うこと!結婚は自然の摂理だと》

 

「結婚って人間にとって必要なものですか?」

 

「私にその質問をするのですか?」

 

「いいえ、この際ですので…」

 

これまでも永い仲人の経験の中では、こういう理屈をいう人がいなくはなかった。

 

「結婚は人間だけではなくあらゆる生物にとって、自然の摂理だと思いますよ」

 

「……」

 

「そうして子供を産み育て社会へ送り出して、人間集団の一員として大きな力の歯車と成長して、人間の尊厳を保って生きて、死んでいくんじゃないですか。それを空しいというか、満ち足りるというかは人それぞれでしょうか」

 

私はいつも思っていることを口走った。「ただ…」

 

「必ずしも子供に恵まれるとも限らないですね。でも、神様は、男と女というお互い関心をもって余りある存在をつくってくれました。まったく違うお互いの性をとおして、奥深い人間というものを知ることで、有意義な一生を送ることができるのではないですね・」

 

黙って聞いていた広田さんは、口を開いた。

 

「母も以前同じようなことを言っていました。“あなたを産み育てることで私がどんなに生きることの勇気を得られたか、親になれば理解できるかもしれない”ってね」

 

「お母様のおっしゃるとおりですね。仮に子供に恵まれなくても、男と女が人間の尊厳を保ちながら、お互いに影響しあって成長していくなら、幸せな人生を送ることができるのではないでしょうか」

 

半年後、広田正人さんは、紆余曲折はありましたが、3歳下の女性(大卒、160cm、国家公務員)と成婚した。

 

成婚者にいただく親子の写真

 

そしてその2年後の年賀状で、1歳の赤ちゃんを真ん中にした親子の写真を送ってくれた。添え書きに正人さんの「先生、あの時の“説教”が今でもありがたく思われます」とあった。無上の喜びである。

 

《仲人カウンセラー自身の生き方を問われている》

 

広田正人さんは2年後の年賀状の添え書きに「あの時の“説教”が今でもありがたく思われます」と書いてくれましたが、もとより説教のつもりはなく、あの時は自分に突き付けられた質問のような気がして「どうして結婚するのか」を自分で考えたかったのだと思います。高じて「どう生きるべきか」となるわけです。

 

常に、いわば生々しい現場に立ち会わせていただき、それこそ真剣に立ち向かってくる会員さんには、逆に教わることが多く、仲人冥利に尽きます。今はすべてに感謝です。

(この巻、了)

 

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