投げやりな態度のお見合い男性へ何のために結婚するのか教え諭す
お見合い結婚体験談
“結婚したい気持ちがわからない”そんな感想をお見合い相手の女性から言われてしまう男性。女性に対して、そんな投げやりな態度でお見合いしていては、いつまでたっても結婚できません。そんな男性に「何のために結婚するのか」を教え諭すことで成婚に導くことができました。
前編の記事≫≫ お見合い仲人同席して婚活指導!女性に興味ない態度はいけません の続き
《交際エピソード》
広田正人さん。さいたま市に両親が住む方です。つくば市のある会社の研究所に勤める学究肌の男性です。婚活歴は6年前から大手と言われる、いわゆる結婚情報サービスの会社を2、3社転々としていたと言います。
収入はソコソコありましたが、結婚できない条件が、160cmという身長にあると本人は思っている節がある。うちの女性会員さんを“お見合い引き合わせ”で紹介をしたが、彼女のお見合い感想を羅列すると、
「なにか投げやりな態度なんです」
「こちらの目を見て話してくれないのです」
「用を思い出したからと言って、15分くらいでお見合い切り上げて帰ったんです」
「プロフィールを見ているはずなのに“趣味はなんでしたっけ”でしょう?」
「結婚したい気持ちが感じられない方とは、お付き合いできません」
ということになる。
これでは何人お見合いしたところで、いつまでたっても結婚できません。
《成婚者 プロフィール》
【広田正人(仮名)42歳・東京農工大学農学部卒・会社員(研究所勤務)・つくば市在住・初婚】
《妻は仲人名人》
昭和から平成の時代にわたり、“仲人おばさん”としての経験を備忘録としてノートに書き留めていました。今は息子の嫁が仲人を継いでいますが、少し時間ができましたので、時代はとびとびになりますが、創業者が当時を思い出すままブログに書きます。
いやいやながら投げやりな態度でお見合いする男性
お見合いの二人を
「場所を変えて駅前の喫茶店で、気兼ねなくお話しして。でもあとせいぜい1時間くらいですよ。お別れしたらお家へお帰りよ」
と言って、私は相談室から送り出した。
そうして間もなくお見合い相手の山田美知子さんが相談室へ寄った。次の相談者を帰して話を聞いた。
「あらっずいぶん早かったんじゃない?どのくらいの時間いました?」
「15分くらいです。コーヒーが出てきてまもなく“ほかへ行く用があるから”ってお見合い切り上げて…」
「ええ、なにそれ!」
私は思わず言った。
「それじゃ、肝心なことお二人でお話しできなかったでしょう、なんて言ってました?広田さんは」
「私の目を見て話さないんです。そして、なんだか投げやりな態度なんです。“僕は結婚というものにそんなに期待してないんですよ、母が結婚しない息子を残して死ねない、って言うものですから結婚相談所へ入会したんですよ、あなたはどうなんですか?”って。広田さん、なんだかいやいやながら活動(婚活という言葉がまだない時代)してるみたいです…」
「それであなたはなんて?」
彼は後回しにして、彼女の今後の活動方法もあるので聞いてみた。
「はい、私はすぐにでも結婚したいです、いい人がいれば、と答えました。最後に“僕はどうですか?”っておっしゃったので、相談室の先生にお伝えします、と言いました」
「はい、それでいいのよ。それはそうよね。そのために皆さん一生懸命頑張っているわけですから。美知子さん偉い。そのくらい言わなくてはねえ」
とほめておいた。
結婚したいのかどうかわからない人と付き合えない
お見合いした翌日までに、お見合い結果を相談室に連絡するのが、会員さんのルールということにしてあったので、広田さんからも電話があった。
「山田さん僕のタイプです、交際したいです」
「ふむ、そうねえ、山田美知子さんにも聞いておくわ。ところで広田さん、今度の土曜日空けられるならうちへ来ていただけますか?」
というわけで、彼女の返事を伝えずに土曜日を迎えた。
当時の私は、広田さんより3つくらい年上であったが、同じような年代であるのに、お見合いの席で、何で子供っぽい態度を示すのだろう、と真意を計りかねた。
お母様はじめご家族の人たちは、彼に早く結婚してほしいと考えているのだ。彼にはもっと結婚を真剣に考えてほしい、と思った。
まず山田美知子さんからはお見合いを断られた旨伝えた。しかし、あまり落胆の様子はない。
「なんて言っておられました?」
「結婚したいお気持ちがあまり感じられませんでした、そういう方とお付き合いしたくありません、ということです」
私は彼女が言ったとおりに伝えた。彼は私を見ず、黙って頭をさげているだけだった。そのあと、うちでの「お見合い引き合わせ」の時の様子など、私の気が付いたことなどを話した。
お見合い引き合わせで感じた男性の態度を教え諭す
まず、
“趣味はなんでしたっけ”
これを注意した。すると、彼は分かっていたのだけれど、話題提供という意味で口から出てしまったと言った。
「わかっていることなら、その趣味の内容について質問するべきです。そうでなければ、お相手は最初っから自分に関心がないんじゃないか、って思ってしまいます」
「よくわかりました…」
彼は神妙であった。“それと”と私。喫茶店のことであった。
「あなたにあの後ご用があったのですか?15分くらいで席を立たれたそうですが…」
「いやあ、そうじゃないんです。どうせまた断わられるに違いないから、あまり長居をしてもしようがないかなって思っちゃって」
私はすぐに言葉が出なかった。やおら、
「正人さん聞いてね。あなたがどう考えようと、お見合いにはお相手がいるのです。あなたもそのお相手も、ひょっとしたらこのお見合いで結婚が決まるかも知れない、と思って時間を割いてきているの。皆さん真剣に取り組んでいるのです」
「よくわかりました…」
と、広田正人さんはまた言った。
「この際聞いてね、あなたに言う人は、たぶん私以外いないと思いますので」
「なんなりと…」
殊勝である。
自分の思い通りにならない女性!結婚は面倒くさい
「山田美知子さんが、あなたをお断わりした最大の理由は、あなたが積極的に結婚というものを真剣に考えておられない、お母様が行けというから結婚相談所に入会している、自分は結婚というものに期待していない、つまり結婚したくないと」
「いやあ、そんなつもりで言ったんじゃないんです。たしかにもう面倒くさくなっているんです。結婚したくない気持ちになっていることは確かです」
私は、この彼がもっと早く私と出会っていたら、そんな気持ちにならないうちに早く結婚してもらっていただろうと思った。
彼にはカウンセリングが必要なのだ。
自分の思い通りにならないから、一人で悩み、捨て鉢になっていたのだ。
「それとお相手の目を見てお話ししていますか?」
私は「もうひとふんばり」だと自分を励ましながら言った。
「えっそうでしたっけ。目を見て話しているつもりですがねえ」
「いいえ、少なくともそう感じられるようだといけませんよ。正人さん、あなたもお相手がそんな感じだと悲しくなるでしょう」
「まあ、悲しいですね…」
「それだったら、そうなさらないとね」
「ハイハイ」
「ハイは一回でいいんでしょ」
「ハイハイ」
「また!」
二人は笑った。
何のために結婚するのか?結婚するということの意味
そして広田正人さんは言った。
「結婚って人間にとって必要なものですか?」
「私にその質問をするのですか?」
「いいえ、この際ですので…」
これまでも永い仲人の経験の中では、こういう理屈をいう人がいなくはなかった。
「結婚は人間だけではなくあらゆる生物にとって、自然の摂理だと思いますよ」
「……」
「そうして子供を産み育て社会へ送り出して、人間集団の一員として大きな力の歯車と成長して、人間の尊厳を保って生きて、死んでいくんじゃないですか。それを空しいというか、満ち足りるというかは人それぞれでしょうか」
私はいつも思っていることを口走った。「ただ…」
「必ずしも子供に恵まれるとも限らないですね。でも、神様は、男と女というお互い関心をもって余りある存在をつくってくれました。まったく違うお互いの性をとおして、奥深い人間というものを知ることで、有意義な一生を送ることができるのではないですね」
黙って聞いていた広田さんは、口を開いた。
「母も以前同じようなことを言っていました。“あなたを産み育てることで私がどんなに生きることの勇気を得られたか、親になれば理解できるかもしれない”ってね」
「お母様のおっしゃるとおりですね。仮に子供に恵まれなくても、男と女が人間の尊厳を保ちながら、お互いに影響しあって成長していくなら、幸せな人生を送ることができるのではないでしょうか」
半年後、広田正人さんは、紆余曲折はありましたが、3歳下の女性(大卒、160cm、国家公務員)と成婚した。
そしてその2年後の年賀状で、1歳の赤ちゃんを真ん中にした家族の写真を送ってくれた。添え書きに正人さんの「先生、あの時の“説教”が今でもありがたく思われます」とあった。無上の喜びである。
まとめ
広田正人さんは2年後の年賀状の添え書きに「あの時の“説教”が今でもありがたく思われます」と書いてくれましたが、もとより説教のつもりはなく、あの時は自分に突き付けられた質問のような気がして「何のために結婚するのか」を自分で考えたかったのだと思います。高じて「人はどう生きるべきか」となるわけです。
常に、いわば生々しい現場に立ち会わせていただき、それこそ結婚に対して真剣に立ち向かってくる会員さんには、逆に教わることが多く、仲人冥利に尽きます。今はすべてに感謝です。
(この巻、了)
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