結婚相談所に入会した当日にお見合いを成立させる仲人の大作戦

須賀道夫さん(仮名)の成婚ストーリー【前篇】

 仲人おばさんの婚活ノウハウとコーチングスキル

 

結婚相談所に無料相談で来た一橋大卒の40代男性が、その場で入会を決断。当日、彼に選ばせたお見合い希望の女性の中に、私の会員で相談室の近所に住む、慶応大卒の30代女性がいたので、その日に彼女を相談室に呼んで、なんともダイナミックなお見合いが始まった。

 

【須賀道夫(仮名)一橋大学 商学部卒・41歳・一流商社会社員・166cm70kg・川口市在住・父70歳・大卒・元会社員・母65歳・大卒・妹39歳・大卒・既婚・会社員】

 

今は息子の嫁にあとを継がせていますが、少し時間ができましたので、私の仲人おばさんとしての、成婚エピソードを書き留めた備忘録としてのノートを取り出して、人生の集大成のつもりで書きます。時代はとびとびですが、思い出すままブログに書きます。

 

この仲人の世界にのめり込んだきっかけは、25歳の時(すでに結婚していました)私の大学時代の同級生と職場の同僚の男性を結び付けたことが始まりでした。

 

目次
 

 

《僕、オンナを知らないんです》

 

時代が前後しますが、仲人業を始めて20年くらい経った頃のことです。私自身の子育てもそろそろ終わりかけていました。

 

結婚相談者を募集するのに、まだNTTのタウンページやミニコミ誌が効果を発揮していた時代で、少し大きめの広告をすると応募者がありました。

 

あまり会員さんの在籍数が多くなると、お世話が希薄になる懸念があるのと、一応、主婦をやりながら、ということもあって、効き目がないくらいが適当でした。

一相談室で100人未満の在籍者が、ちょうど良い人数です。

 

そのころ須賀道夫という相談者が面談に来ました。黒縁の眼鏡フレーズがいかにも暗い印象でした。

 

結婚相談所に面談に来た男性

 

その彼が入室してソファーに掛けるやいなや、

 

「僕、女を知らないんです…」

 

と言った。彼が女という声の響きは、たぶんカタカナのオンナであったと思う。

 

私は当時45歳くらいではあったが、案外しゃべりやすいのか、あるいは結婚相談所のカウンセラー(当時としても、そういわれるようになって久しい)には、親兄弟に言えないことをポロリと言える雰囲気がかもし出されているのだろうか。

 

しかし突然は驚く。

 

が平気をよそおうことにしている。

 

「そうですか…」

 

と驚かない。

 

以下はその時の会話を再現してみます。

 

「やっぱり変ですよね」

 

「変じやありませんよ、ぜんぜん!そのチャンスがなかっただけじゃありませんか」

 

「昔は何度も歌舞伎町へ通ったんです」

 

「えっ、女性を買いにですか?」

 

「いえ、お店の前までは行くのですが、入れませんでした」

 

「ああよかった」

 

「よかったですか?」

 

「当り前じゃないですか」

 

「そうですか、みんな今でもやってますよ」

 

「みんなはみんなです、あなたはやらなくてよろしい。だいいち異性をお金で買うなどはしていいはずありません」

 

「そうですか。一度くらい結婚前に経験しておけばいいと思ったんですが」

 

「いいえ、経験していいことと悪いことがあります」

 

《恋愛関係になったことは?ないです》

 

思えばそのころ、結婚相談所を経営して20年になっていたから、物言いには、すでに貫禄が出てきていたようである。

 

「それよりも恋愛の経験はどうですか?」

 

と聞いてみた。

 

「あります、と言えるのかどうか。女性を好きになったことは多々あります」

 

「多々?おありですか」

 

「いやそれだけです」

 

「恋愛関係になったことは?」

 

「ないです!」

 

「ないんですか…」

 

それは恋愛経験がないに等しいと思うけど。

 

5年くらい前に、一度だけ“ばか!”と言って、去って行かれたことがあります」

 

話し合いをする男女

 

「それってどういうこと?」

 

「要するに、付き合って半年くらいのあいだ、食事を何度かしていたんですが、あちらは僕と同じ年でして、僕と結婚してもいいと考えていたみたいです、あとで思えば。来週お見合いするとかいうものですから“そりやよかったですね、頑張って!”なんて言っていたら、翌週、彼女は、良さそうな男性だから交際しようかと思っているっていうものですから“そうなの”って言ったんです。その時“ばか!”って言われたんです。それっきりです、彼女は」

 

「そうなの、彼女が可哀そうになるわね、その話。あなたはどうだったんですか?彼女とは」

 

「いいと思っていたんです」

 

「えっいいと思っていたんですか?じゃあどうして」

 

「その時、女性に対して自信がなかったんです」

 

「何の自信?」

 

「要するに女性の体をどう扱っていいのかもわからないし」

 

「そっちへ行くのね、さっき言ってたのは」

 

「そうなんです」

 

「馬鹿にされたりしないのか、とか?」

 

「そうなんです!」

 

彼は力を入れた。悪いと思ったが、私は“ふうっ”とため息をついた。

 

「須賀さん、いいですか、結婚前に異性を知らないというのを馬鹿にするような人とは結婚しないでよろしいんです」

 

「はい、わかりました」

 

と、彼はなにかほっとしたようにして言ったが、私がむしろ心配なのは、41歳まで恋愛による性的関係が自然になかったほうが問題だと思った。誤解を恐れずに言うと、こういう仕事をしていると余計思うのかもしれないが“若気の至り”とか“あやまち”といった経験を、むしろしてきてほしいものである。

 

《私の会員、慶応大卒の女性を選ぶ》

 

須賀道夫さんは今日入会手続きをしたいという。駅前の銀行へ入会金を下ろしに行った。

 

彼は、入会申込書の学歴の欄に「一橋大学」と書いた。

 

いつも私が最初に関心を持つのは、その入会者がどういう傾向の異性をお見合い相手に選ぶか、という点である。

彼に女性の掲載誌を見せて選ばせた。すると10名ほど選んだ相手の学歴については、高卒から大卒、大学院修了まで幅広い。それはいいが、おおよそ美人ばかりだ。が年齢は同じか、年上もいる。

 

「須賀さん、あなたの年齢で、40歳前後の女性ばかり選ばれるのも珍しいですよ、年上がいいんですか?」

 

「いいや、自然にそうなりましたね」

 

「こちらとしては楽ですよ。そうしてもらえると。でも一般的に5歳くらい下まで選んでもいいですよ。だいいちあなたは一橋ですから遠慮なくどうぞ」

 

と言った。それから1時間ほどかけて10名ほど選んだ。その中に私の会員さんを選んでいた。35歳、慶応義塾大学 経済学部卒である。証券会社に勤めるアナリストである。

 

男性の中でもまれているせいで、面立ちがきりっとしている。私は自分の勘で、このカップルは“いける”と思った。大学も相応である。

 

うちの会員だと告げると、「この方、なにかコワそうな感じがします、何か吹っ飛ばされそう」

 

と彼は言った。

 

「ううん、男性のあいだで対等にお勤めしているので、つい厳しくなるのでしょうね。ふだんは優しいお嬢さんですよ、お会いしてみます?」

 

「えっ、会ってくれるんですか?」

 

「たぶんね、いま電話してみます」

 

私は日曜日、彼女が出かけずに家にいることは把握していた。

 

《今すぐお見合い?私スッピンです》

 

私は田川千佳さんに、目の前にいる須賀道夫さんの経歴を簡単に話した。

 

「いますぐ来られない?」

 

「えっ今すぐですか?それってお見合いですか?」

 

私は須賀さんをふり向き了解を得た。彼は「気持ちの準備もへったくれもないもんだ」

 

とひとり言を言った。

 

「私スッピンです!」

 

スッピンの女性

 

彼女の悲痛なひびきであった。

 

私は自分が持っている仲人の勘にまかせて、その頃、そういうことをやっていた。それが成婚によく結びついた。

 

【田川千佳(仮名)慶応義塾大学 経済学部卒・35歳・証券会社勤務・159cm50kg・浦和市(現さいたま市)在住・父69歳・大卒・元会社員・母65歳・大卒・妹33歳・大卒・既婚・会社員】

 

彼女は、うちのマンションから、公園をはさんであちら側に住んでいる。

 

30分しないうちに現れた。やはりスッピンに近い。かえってリラックスしているみたいでよかった。

 

「お待たせいたしました」

 

「あら早い。ありがとう、無理させちゃったわね」

 

「いいえ、ありがとうございます。自分のことですから、感謝いたします」

 

礼儀正しい。彼女は3カ月前に、母親に連れられて入会した。

 

「仕事が忙しい、忙しいって結婚を後まわしにしているのですよ。なんとかお願いいたします。ビシビシやってください」

 

母親の言葉を思い出す。男性が寄り付きにくい面があった。端正な顔立ちであるが、要するに、ナヨッとしたところがみじんもない。スキがないと言ったらいいのだろうか。で物言いがテキパキしている。

 

しかし、気遣いが細やかで、同性から見ても、これまでどうして結婚しなかったのが不思議な感じである。

 

《こういうダイナミックスさ、好きです》

 

彼を見ると、何か一点を見つめて両手のこぶしを握り、それぞれ膝まで伸ばしている。

 

「須賀さん、ひょっとして緊張していますか?」

 

「いや、そんなでも…」

 

と見栄を張ったのか。私は両名を紹介して、ドアのそばで、お茶の用意をした。

 

「田川千佳と申します、本日はよろしくお願いいたします」

 

「こちらこそ、ぼ、僕は今日、何か迷路に入り込んじゃったみたいで、多少とまどってます」

 

おっ彼は比較的リラックスしている。千佳さんは口に手を当てて「ふふふ」とほほ笑んで、

 

「私もです、ここの先生、こういうのお好きみたいで…、こういうダイナミックスさ、私も好きです。ドキドキする間がないみたいな」

 

と言いながら私をちらちら見た。ああ、千佳さん少し女っぽい。いいぞいいぞ、と私は思った。しかし、私がお茶(日本茶)を出すのを境に二人とも黙った。

須賀さんは黒いフレーズのメガネを鼻にして、上目使いに彼女を見ては、もじもじしている。

 

「あのう、ちょっとトイレ、いいですか?」

 

入室後2時間近くなるので、もよおしても不思議はない。私はトイレを指さした。彼が立ってから、声出さずに「どうお?」と眼で言った。すると、彼女は指で丸を作った。

 

《何かもさっとしてる男性がいいんです》

 

「そうなの?ひょっとしてタイプ?」

 

と思わず声にした。

 

「職場には一人もいない、何かもさっとしてる方がいいんです。黒縁のメガネだって、ふつうはどうにかしてよって感じになりますでしょ?でもそれがいいんです」

 

黒縁メガネをかけている男性

 

彼女は口の前に指を持っていきながら、嬉しそうに小声で言った。

 

私は意外な感じはしなかった。確かに学歴でぴったりと思って引き合わせたのだが、気遣いが半端でなくセンスの良い千佳さんと、なんとなくもさっとした感じの須賀道夫さん、案外、お互い無いものねだりで合っているのだ。

 

私は胸の前で指を組んで、

 

「よかったあ」

 

と言った。

 

だが、相性はよくても、二人がただちに相思相愛の仲になったわけではない。いろいろなファクターで、いっぺんに壊れる場合があるのが、お見合いである。

 

つまり「きずな」が強固ではなく、周りの意見とか、ましてや誰かに反対されたらひとたまりもない。すこし、様子を見るしかない。

 

須賀道夫さんが戻ってきたので、

 

「きょうはあなた方、駅前の喫茶店に移動して、もう少しお話してみたら?」

 

ということで二人を送り出した。

 

夜になって、二人から同時くらいの時間に、驚きの報告があった。

 

後編≫≫ 二人から逐一仲人に交際報告!内々のお見合いは成婚までが早い に続く

 

 

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