本家跡取りいない50代男性が求める女性の条件はバツイチ子持ち
お見合い結婚体験談
10年前、うちで結婚してくれた女性の父親(ここでは“お年寄り”としている)が甥を連れてきていた。何でも本家の長男だから、「跡取り息子が欲しい」ということで当時も無料相談に来ていたはずである。
しかし、なぜ彼がうちへ入会しなかったのか、聞いてみなければわからない。たぶん私の「物言い」が災いしていることは間違いないところである。
私は、跡取りを作りたいと言われて「結婚をなんと心得ているの」くらいは言ったのだと思う。女性は“繁殖馬”ではないわけだ。
再婚相手の子どもを跡取り息子に迎えたいという50代初婚男性とバツイチ女性のお見合いが入会後すぐ成立した。今度はどうなるか。
《相談者》
【岩田博(いわたひろし=仮名)51歳・大卒・公務員・埼玉県加須(かぞ)市在住・初婚・174cm・68kg・父・亡・母75歳高卒・妹47歳・高卒・既婚】
《妻は仲人名人》
昭和から平成の時代にわたり、“仲人おばさん”としての経験を備忘録としてノートに書き留めていました。今は息子の嫁が仲人を継いでいますが、少し時間ができましたので、時代はとびとびになりますが、創業者が当時を思い出すままブログに書きます。
10年前の無料相談入会しなかった理由は?
このお話は、平成の半ばころになります。50代初婚男性が、親類だというお年寄りに連れられて訪ねてきました。この組み合わせで訪問を受けるのはこれで2度目です。
一度目は10年前でした。お年寄りというのは、ウチで結婚した当時37歳女性の父親で77歳になるとのことでした。自分の娘を結婚させてくれたということで、いたく感激して、娘を連れて結婚のお礼に来た時にも、
「もう、親類中の“独りもん”を全部こちらに預けます。片っ端から連れてきますのでよろしくお願いします」
とのことでした。そして何人目かの一人が今回連れてこられた岩田博さんです。10年前に来た時は、彼は41歳でした。その時も子供が欲しいので早く結婚したいと、本人も言っていました。そう言っていながら入会はしないままでした。
「お家のほうで結婚なさったのでしたか?」
私はそう言ってみた。岩田さんは頭をかいた。親類のお年寄りが口をはさんだ。
「いやあ、これはね、どこか、大手の結婚相談所だという違うところに入会していたというんですよ」
と言って、
「さっき聞いたんですよ、せっかく私がずいぶん前にここへ連れてきたのに、たいへん失礼なことでした」
と言って私にぺこりと頭を下げた。岩田さんも合わせて頭を下げた。
「そんな気を遣わないでください、それよりも、その大手とやらはどういうところですか?」
私の見当はついているが、すぐ聞いてみた。
「よく新聞で一面広告しているところですが、僕はその3カ所で5年間活動してヘトヘトにくたびれて婚活を諦めました」
当時は、まだ紙媒体広告が主流を占めていて、大手と言われる結婚情報サービスの会社は、こぞって新聞媒体などで全面広告をしていた。イオン傘下のツヴァイ(現在はIBJが買収)、楽天のオーネット、などが会社規模から独身者の信頼を得ていた。システムとしては、概ねコンピューターマッチングによる結婚相手紹介が主流であった。
対する私たちは、一人ひとりの街の仲人たちが、ネットワークで結ばれ、自分の相談所へ入会した会員を、個人情報が漏れないように、紙媒体(良縁ニュース)に印刷して管理していた。
そして多くの男女の出会いが、日本全国で展開されていたのは現在と同じである。その仲人集団を組織している結婚相談所連盟3団体に私どもKMAは加盟している。
それで私は、「うちへ入会して結婚できない人は、よそへ行っても無理よ」
と口癖のように言っている。岩田さんには10年前にも言ったつもりであるが、女性仲人が一人でやっている結婚相談所を信じられなかったのでありましょう。無理もないことです。
しかし、正しく比較するとしたら、男女会員数の情報量の多寡もさることながら、問題は内容でありましょう。私たちが一番誇れるものは、昔の仲人の良いところ「古き良きお節介」を併せ持っていることです。
婚活仲人型サポートの質が成婚率を高める
それは交際が始まった男女の、少なくともどちらかが、どちらかの仲人にできるだけ克明に報告すれば、まず相当の成婚率で結婚できるでしょう。私は岩田さんに質問しました。
「で、5年間で3つの会社を渡り歩いて、何人の女性とお会いしました?」
自分の言葉に少し毒を感じながら聞いてみた。
「そうですねえ、20人くらいでしょうか」
彼は考え考え言った。
「うちですと、半年あればそのくらいお見合いできますよ」
私の毒はまだ続いているようである。
「えー!!」
と岩田さんも、なにか私に合わせるように大げさに驚いた。出会った女性20人が、あちら3社で5年間と、こちら一人の仲人が半年で実現すると聞いては驚くかもしれない。
なにしろこちらは3つの結婚相談所連盟に加盟しているから、会員数は常に男女合計10万人を優に超える(会員登録の重複あり)規模である。
婚活仲人型と結婚情報サービスの違いは?
「5年の間にうちなら子供が2人くらい出来ていますよ」さすがにこれは言えなかった。
考えてみましたら、大手の結婚情報サービスのシステムは、もともとヨーロッパから導入されたわけで、社交的な人種が多い社会ですから、そもそも出会いを導きはするけれど、そのあとの恋愛(交際)に入るかどうかは本人たちで決めなさい、というのが根強いコンセプトになっている。
私たちはというと、昔ふうの仲人の伝統があるので「結婚させてナンボ!」という思想が根深い。もともと地域に根ざしたものなので、極端に言えば「結婚させられない仲人は仲人にあらず」という評判になっては、街を歩けない、ということになる。それだけ大手と言われる結婚情報サービスの会社とは根本から違うということになる。
「私たちと基本的に違うのは、あちらは出会いを主として、情報だけを提供する会社ということですね。私たちは昔から、会員さんを結婚(成婚)させる、というポリシーをもってやっているということです」
「それだ、それだ、君も早くこちらの先生に頭を下げてお願いしなさい」
お年寄りの語気が強い。気が気でないのだ。岩田さんはそう言われて、両膝の上に両こぶしをのせて、
「いやあもう、今日は入会させてください」
と声をしぼり出すように言った。
お年寄りは駄目押しのように、10年前にウチで結婚した娘さんがすでに1男1女をもうけていて「自分も妻も」と強く言って「家中みんな幸せだ…」と加えた。
ただ私はこの岩田博さんを無条件に入会させるわけにはいかなかった。
お見合い釣り合い必要スピードが成功の鍵
「わかりました。ただ私がお引き受けするのには、私の考えをご理解いただいてからにしていただきたい」
二人とも「それはどんな…?」という顔をした。
「ウチはお見合い結婚の相談所ですから、まず男女どちらも自由に選んで、しかも自由にお会いできるということが大事になってきます」
「というと…」
とお年寄りが質問した。
「つまり、岩田さんはお相手が会ってくれそうな人を選んでほしい、ということです。問題は時間とのたたかいなのです」
「時間!?」
と二人が一緒に発声した。
「あのう、あなたも5年間婚活なさって疲れたといいましたでしょ?嫌になっては絶対ダメなんです、これは。勝負を早くしないといけないだけなんです」
「ああ、なるほどそうですね。わかります」
と岩田さん。
「岩田さんも、せめてうちへいらっしゃった、あの時に入会なさっておけば、と思うのです」
「私と一緒にお訪ねした時ですね?あれはええっと…」
「10年前ですね?」
と岩田さんはお年寄りの言葉を引き取った。
「えてして男性は若い女性を選んで顧みません。岩田さんでしたら、特に子供が欲しい一心で35歳以下の若い女性を求める傾向にあるということです」
「ああなるほど、そうですか、そういう傾向があります、僕には」
「ダメですか?」
とお年寄り。
「駄目ではありませんが、子供が欲しい51歳の男性にすぐすぐ会ってくれる女性が、果たして何人いるかというと、お見合いできる確率はごく低いと言わざるを得ません」
「そういうもんですか?この子は」
とお年寄りは連れてきた彼をさして、
「本家の長男でして、亡くなったこの父親からも何としても跡取りをと言われていましてね」
「事情はわたくしもよくわかりますが」
と私。
「10年前に私どもで結婚してくださったお嬢様、確か36、7歳?」
「そうでした」
「そのお嬢様に51歳の男性をと私が申し上げたら、承知なさらないでしょ?」
「いやあ、まあ、そうでしょうな。結婚相談所にわざわざ入会して、失礼!なにもそんなに年の離れた男性でいいとは思いませんでしょうな」
「はい、お見合いは、言ってみればお互い条件のすり合わせですから…」
「いや僕はもう、それはわかっています」
と岩田さんはきっぱり言った。
再婚相手の子どもを跡取り息子に迎えたい
彼はその日のうちに入会手続きを終え、翌週「戸籍謄本(独身証明書)」「住民票」「収入証明書」「学歴証明書(卒業証明書)」「運転免許証のコピー」を揃えて、お見合いのできる準備が完了した。
私は入会の時に必ず異性を選ばせることにしている。それは、その会員さんがどういう傾向の女性を選ぶかを早く知りっておきたいからだ。岩田さんは長い時間かけて20名の女性を選んだ。
全員が美形であった。しかも、「いや僕はもう、それはわかっています」と言ったにもかかわらず35歳から41歳までの女性を選んだ。一人を除きあとはすべて初婚だった。
女性からみれば10歳年上の男性は、みな「おじさん」であり、見向きもされないとみていい。なぜか。もっと歳の近い男性とお見合いができるからである。
その一人は41歳のバツイチ女性で、しかも4歳の男の子が一人いた。私はこの女性に一縷の望みをかけたい気持ちになった。
「あなた、子供がいる女性を選びましたね?」
「はい、会ってくれれば彼女がいいんです。親からは子供、子供と言われますし、なんとか跡取りを作りたいと思いまして」
「あなたのおうちでは、跡取りは再婚相手の子どもでもかまわない、ということになったのですか?」
「そうなんです、この前叔父とこちらへ伺ったあと、家族で相談したんですが、それでいこう、ということになりまして…、夫婦の絆が大事と…」
「そうしたら、大半、初婚の10歳以上若い女性をお選びになったのはどうして?」
彼は頭をかいて、
「どうも今までの名残りでつい…」
私は笑った。
「でもその中で一人だけ、この彼女は4歳の男の子がいますね」
指さした。
「そうなんです、この人が本命です!」
と彼は言った。
「そうしたら、この女性の入会している相談所に連絡して会えるように努力してみましょうね、あなたの“お見合い身上書”が掲載される前に、お申し込みして、できるだけ早くお会いしていただけるようにしましょう」
と言ってから、
「ただこの方お綺麗だし、あなたの10歳年下なので、結果はわかりませんから、他の人も選んでおいてくださいね」
と付け加えた。
バツイチ子持ち女性と初婚男性のお見合い
その4歳の男の子を持つバツイチ女性は、同じ市内の駅向こうの相談所に入会していた。親しくしているので、彼を帰らせて、すぐに連絡した。
「ああ、会わせますよ。彼女は私任せ、なのでお見合いさせましょう。先生推薦なら喜んで…。先生だけに申し上げますが、彼女島崎愛(仮名)といいますが、これで2度目のお見合いになります。最初のお見合いは先方が6歳の男の子をお持ちの、大企業の社員さんでしたが、お話ししているうちにずいぶんマザコン的な方と感じて、お断りしました、46歳でいいと思ったのですがね」
向こうの仲人さんは、こちらが聞かないのにそうしゃべった。昔から、仲人同士はお互い「先生」と言い合う慣習があった。彼女は続けて、
「それでどうでしょう、今度の日曜日」
という。彼に連絡したら、「すぐにお会いしたいです」というので、うちでお見合いをすることにした。ふつうは女性の入会する相談所がイニシャティブを取って、先方が立ち会うルールがあるのだが、なぜだかこちらでやってくれという。
《お見合い相手》
【島崎愛(しまざきあい=仮名)41歳・高卒・アルバイト・埼玉県さいたま市在住・再婚子供あり・161cm・50kg ・父71歳・高卒・元会員・母66歳・高卒・妹・39歳・高卒・既婚・弟36歳・大卒・既婚】
日曜日、彼は約束の2時を、30分も早く私どもに来て待った。2時を5分ほど回った頃、島崎愛さんは子供を抱えて駆け込んできた。
「遅れてごめんなさい!」
と開口一番言った。5分遅れたのは、お見合いの場所が自分が入会する相談所だと錯覚を起こしたのと、子連れにしたのは、たまたま預かってくれるはずの両親が所用で出かけたためだと、明瞭に説明した。彼女の、必死で子育てしている様子がわかって、私は好感を持った。
岩田さんはといえば、彼女が訴える形の良い唇あたりを見つめながら、
「いいんですよ、いいんですよ」
と語るように終始うなずいて、優しい目をしていた。また、その4歳の男の子が彼女に似て可愛かった。彼はいっぺんに島崎愛さんを気に入った様子がうかがえた。二人はなかなか打ち解けて話せないようであったが、彼女は彼に、
「お酒はお好きですか?」
と聞いた。
「酒はあまりやりません。呑みたいと思ったことはありません」
というのを聞いて、彼女のほっとした顔が印象的であった。
お見合い子供のいたずらが距離感を縮める
ぎこちない二人ではあったが、男の子が動き回るのをそれぞれが見ながらなので、間が取れて都合がいいようであった。そのうち男の子が、背の低いキャビネットに置かれた有田焼の貯金箱に不用意に手に掛けて板の間に落とした。瞬間に母親が見とがめで、
「ダメっ!!」
と叫んでいた。それはすでに遅くて、坊やが手に触れた貯金箱は無残にも割れて、中に入った五百円玉があたりに散らかった。私が長年、気が付き次第に入れていたものである。目見当で10万円は下らない。
それよりも有田焼の貯金箱は珍しいので、昔知人から譲ってもらったものだったので、少し惜しい気はした。男の子は母親の剣幕に泣き出した。すると、岩田さんが、
「いいんですよ、いいんですよ」
と、まるで母親に言うように丁寧語で言って、子供を軽く抱きしめた。その動作があまりにも機敏で、こちらがあっけにとられた。私が所有する焼き物を「いいんですよ」はないが、子供は母親を見ながら泣きやまない。
彼女は、子供を私に正視させて「ごめんなさいは!」と強く言った。子供は素直に「ごめんなさい」と涙の顔で言った。
「ほんとうにごめんなさい、弁償いたします、気を付けていたつもりですが、ご迷惑をおかけしました」
と素直に謝った。
「いいのよ、いいのよ、かまいません。形あるものは、いつかは壊れるものです。たまたまこの有田焼もこれが寿命だっただけです。坊やに責任はありません」
「これは大変すまないことをしました」
と、とつぜん彼が声を出した。「えっ!」と私と島崎さんは思わず顔を見合わせた。彼はもう島崎さんの婿さんになったつもりになったのか。すると、
「いやあ、ごめんなさい。私の立場で言うことではありませんでした。恥ずかしいです、とっさだったものですから、すみません」
と彼は、さすがに自分の発言が場違いだったことに気づいた。
その日は、デートにもならないし、第一印象にとどめることにして、二人を送り出すことにした。島崎愛さんは帰り際に、
「岩田さんを駅までお送りします」
といった。彼は紅潮した顔になり、玄関先で彼女を背中にして私に、
「僕としては島崎さんと一緒になりたいと思います」
といった。「また、この人は唐突に…」と思ったが、彼女は彼の背中から顔を見せてまんざらでもない表情を見せた。
彼女の入会する相談所から夜電話があり、島崎さんは岩田さんを気に入ったとのこと。ただ彼がお酒をどの程度飲むのか心配、とのことでした。前のご主人が酒乱で苦労が絶えなかった、ということであった。
その後二人は3回目のデートのあと、互いの親に会ってその年の秋口に入籍した。慣れるまでは彼の買ってあるマンションに住んで、少し慣れてから本家である岩田家へ入るとの連絡を彼から受けた。
そうして後日談になるが、ほどなくして二人の間に一人の女の子が生まれたということである。あのお年寄りが報告に来たことで分かった。
まとめ
岩田博さんが10年前に、あのお年寄りに連れられて来てウチへ入会したからといって結婚できたかといえばわからない。人の縁なんてどこで結ばれるかわからないのである。
ただ私にまかせてもらえれば、今回のように千載一遇のチャンスを、何気ない私の直観で結びつけられたかもしれない。それが人の出会いの妙なのかもしれない。
それでも、やはり人生なんて結果オーライなのであろう。今ごろ彼は、しっかり者の美人妻の手の平の上で、幸せに踊らされていることでありましょう。
(この項完)
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