お見合いの回数にはふれない‥のがマナー!私の結婚相談所体験記

会員が交際をうまくスタートできるように、お見合いの注意すべきポイントをアドバイスする仲人がいる、埼玉県さいたま市を中心に事業展開する結婚相談所、株式会社KMAです。

 

【山内京華(仮名)33歳・大卒・会社員・156cm・48kg・さいたま市在住、両親、弟1名】

 

10回

結婚相談所の体験記を書けといわれた。いろいろな意味で自分が分かるし、婚活にホントに役立つと言われ、そうかもしれないと思って引き受けてしまったけれどどうなることやら。やってみるしかない。

 

《お見合いの回数は1回ですが、断られました‥》

 

お相手≫≫ 井田さん 40歳 初婚 早稲田大卒 会社員 年収650万円 身長165cm 60kg 中野区在住 両親 兄(43歳既婚)

 

お見合い場所の池袋メトロポリタンホテルのフロントに着くなり、

 

「あのう失礼ですが、山内さんでしょうか‥?」

と真後ろから声がした。「はい!」と私は180度回転した。

 

「井田です…」

 

その井田さんは、小柄ということもあるが、少年のおもむきがあった。かわいいというのか「人畜無害」という感じであった。両手を下にまっすぐ伸ばし、それを身体から少し離して、なぜかコブシを握っていた。緊張しているようであったが、温和な笑顔を浮かべていた。

 

しかし、こちらの目を見ていない。私は目を合わせようと、のぞき込むようにしてみた。

 

私たちは近くのラウンジに移動して掛けた。

 

マナーにバツを出す女性

 

「山内さんはお見合い、何回目ですか?」

 

ほどなくして、彼は聞いてきた。仲人カウンセラーからは「タブー事項」と称して「お相手や、自分のお見合いの回数、かつて交際した人の悪口は言わない事」と言われている。

 

「回数は1回ですが、断られました」

 

断られたことは言うべきでない、と仲人カウンセラーに叱られそうである。

 

「えっ、あなたを断った男がいるんですか?」

 

彼はのけぞるように言った。「おおげさな‥」と私は思ったが、なぜかすぐ反応してくれることに安心した。

 

「僕は10数回しました」

 

《お見合いは何回やっても慣れないんですよ‥》

 

正直、ひょっとしたらそのくらい当たり前のように思えている。自分のように男女の機微にうとい人間が、一人二人と会っても、すぐすぐ交際、結婚へとはいかないだろうと思うのだ。しかし、私はそれを聞いて、

 

「ええっ、そうなんですか?」

 

と驚いて見せた。

 

「そうなんですよ…!」

 

彼は胸を張ったようであった。自慢?と私は思ったが、

 

「じゃあ慣れておられるのですね」

 

と言ってみた。

 

「いやあ、それが何回やっても慣れないんですよ。そのつど緊張してしまって」

 

「なんだか、すごく慣れていらっしゃるようですが」

 

「ダメですね、人間って十人十色、百人百様なんですね。しかも、お見合いって全員初対面じゃないですか?ですからむずかしいのかもしれませんね」

 

「人畜無害」な感じの井田さんが、むずかしい顔をして言うのを聞くと、生意気な少年のように思えておかしかった。しかし、なるほど「それは覚悟の上」のはずではあるが、言われてみれば、きょうまで会ったこともない人間が、それも男女が突然出会うのだから「むずかしい」ことのように思えてくる。

 

「そうしてみますと、いつも、お見合いのたびごと、新鮮な出会いをしていることに成りますね…」

 

「見方としてはそうですね、あらかじめ相手のプロフィールを知って会うんですが、大半の部分では会ってみなければわかりませんからね」

 

「そうですね」

 

と私はうなずきながらも、二人の会話が、お見合いの席でふさわしいかどうかについては考えられなかった。共通の話題ならいいのかもしれない。

 

「なんだか僕たち【恋愛論】じゃなくて、【お見合い論】を語り合っています?」

 

井田さんも気がついたようであった。二人は口を開けて笑った。私は急に、彼に親近感を覚えた。ありきたりなあいさつ代わりの会話よりも、そうした本質というより、本音をさらけ出してくれたことで好ましい印象をいだいた。

 

《お見合いって、こんなんでいいの?》

 

ひょっとしたら、井田さんを一生の伴侶に選ぶかもしれないと一瞬思った。

 

ラウンジを出て(お見合いを切り上げ)池袋駅西口に向かう道すがら、彼は、

 

「僕は今日でお見合いをやめにしようと思います」

 

「えっどうしてですか?」

 

私は思わず、何も考えずに聞いていた。

 

「なんだかきょうは本音で話せたので、もうこれでいいかと」

 

「これでいい…」

 

二人は改札で別れの会釈をした。彼をみると、涙目になっていた。私はつられたように、わけもなく涙をこぼしてしまった。人で込み合う改札口で体をあおられながら、

 

「これからもよろしくお願いします」

 

と井田さん。

 

「こちらこそ」

 

私は、そう返事をしていた。私は「お見合いって、こんなんでいいの?」と思いながらも、内からうれしさがこみ上げてきた。

(この項、了)

 

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